高梨は22日のW杯最終戦が終わった後、スロベニアのプラニツァまで応援に訪れていた両親と話し合った。進路について親子で出した結論は進学の見送り。この日、高梨と別の便で帰国した父・寛也さんは「大学には行きません」と明言した。
高梨が検討していたのは、日体大体育学部が来年度から新設した飛び級入学制度だ。「受けておかないと、いざ行きたいと思った時に行けなくなる」と寛也さん。高梨は忙しい合間を縫って、3月上旬に試験を受けて無事合格した。ただし、競技と学生生活の両立は簡単ではない。日体大では各競技の日本代表クラスならリポート提出などでも単位取得が可能だが、来年度からは新たなルールが設けられ、講義に出ずに得られる単位は卒業に必要な124単位のうち60単位に制限される。
今季も夏のグランプリ、冬のW杯、その間の合宿で高梨の日程は埋まっていた。大学に進めば試合を削って学業を優先する必要も出てくる。寛也さんは来春以降の進学には含みを持たせたが、五輪シーズンを終えた直後に焦って進学を決める理由はないと結論づけた。
シーズンを終え、進路の結論も出した高梨はすっきりした笑みを浮かべていた。「たくさんのことを経験させてもらったし、ベストを尽くしきれなかった悔しさを味わったシーズンでもある」と今季を総括。W杯、ソチ五輪など4カ月で22試合を戦い抜いたが、例年悩まされた足の痛みはない。そのため今季は5月初旬だった始動時期も前倒しし、4月中にも来季に向けてスロベニアで飛び始める予定。「まだまだ技術も精神面も欠けている。磨いていかないといけない」とまずは競技に集中し、今季の経験をさらなる飛躍につなげる。