皆既日食の時間が陸地で最長となる鹿児島県南部、トカラ列島の悪石島(あくせきじま)など7島には、21日までにツアー客や報道関係者ら約690人が上陸。世紀の天体ショーの始まりを待っている。
皆既日食は、トカラ列島のほか、屋久島、奄美大島などで観測され、国立天文台によると、計算上、最長継続時間は6分44秒。これは今世紀中に世界で観測される皆既日食の中で最も長い。陸地で最長は悪石島で、午前10時53分16秒~同59分41秒の6分25秒にわたり続く見通し。このほか各地でも部分日食が見られる。
日食が最大になる時刻は、南から順に、午前10時53分頃(那覇市)、同56分頃(福岡市)、同11時5分頃(大阪市)、同7分頃(名古屋市)、同12分頃(東京、仙台市)、同10分頃(札幌市)。北へ行くほど太陽が隠れる割合は小さくなる。
悪石島には、一般の観光客150人、報道関係者68人、旅行会社のスタッフら68人が訪れ、人の数は普段の5倍余りに膨れ上がっている。観測場所となる十島(としま)村立悪石島小中学校(小学生7人、中学生2人)の校庭では21日夜、観光客らを歓迎する「島民フェスティバル」が開かれ、翌日の晴天を願いつつ交流を深めた。
ただ、気象庁の予報によると、太平洋高気圧が南の海上へ後退し、代わりに梅雨前線が南下する影響で、22日のトカラ列島周辺は雨になる可能性が高い。九州や四国は一部で晴れ間ものぞくが、本州は中国地方を除き、曇りか雨の所が多くなる見通しという。
◆観察する時、気をつけて◆
日光に含まれる赤外線や紫外線は目を傷める。日食で光が弱まるとは言え、肉眼で太陽を直視するのは禁物だ。観察の際には以下の点に注意しなければならない。
日食を直接観察するには、市販されている専用の「日食グラス」を用意する必要がある。サングラスや色つきの下敷き、すすを付けたガラスを使って見るのも危険という。また、日食グラスをかけていても、その状態で天体望遠鏡をのぞいてはいけない。いずれも最悪のケースでは失明する可能性さえある。曇り空でも、雲の切れ間から太陽が突然のぞく場合があり、同様の注意が欠かせない。
また、日食は、欠け始めから終わりまで2時間以上かかる。熱中症などにならないよう、水分を十分にとり、炎天下に長くいないなどの注意も必要だ。