、今季最終戦に臨んだ石川遼(17=パナソニック)は4バーディー、1ボギーの67で回り、首位に4打差の7位スタート。スコアを落としそうになるたびに、難しいパーパットを沈めてピンチを脱出した。5日の第2ラウンドは今季賞金王の片山晋呉(35=神奈川クリニック)と同組。昨年も2日目に一緒に回り、苦杯をなめた王者との“再戦”に臨む。
最後もヒヤヒヤの場面を粘りのパットで切り抜けた。ボールがカップに沈むのを見届けて、石川は何度も右拳を振り下ろした。「絶対にスコアを落としそうな場面で落とさなかった。それがこのスコアにつながった」
18番パー3は急傾斜のグリーンを持つ最難関ホール。パーパットはピン奥から下りの5メートル。打ち出した瞬間に「あっ!強い」とギャラリーが叫んだが、ボールは石川の読み通りの弧を描いて無事にカップに収まった。
粘りのゴルフを生んだのは、派手なリカバリーショットやチップインではなく3つのパーパットだった。序盤はショットが絶不調で「このままだときょう1日でこの試合が終わっちゃう」と危機感を抱くほど。4番パー4も「最悪」なショットでピンチを招いた。しかし、ここでピン奥12メートルからのパットが決まった。パーを死守して嫌な流れを断ち切ると、スイングにも鋭さを取り戻した。
第2打を隣のコースまで曲げた10番パー4でも8メートルのパーパットをねじ込み、これが11番からの3連続バーディーの呼び水となった。「3ホールとも2パットならスコアはイーブンだった。ああいう1打が最終的に効いてくるかもしれない」と石川は振り返った。
今も昔も練習の基本は1Wのスイング。“パット・イズ・マネー”という言葉があるが、プロになってもパット練習がメーンになることはない。それでも今季の平均パット数は1・7654で3位につけている。
2年前、中3だった石川は杉並学院高の先輩・宇佐美祐樹(現日大2年)と一緒にラウンドし「パットだけで5打くらい違った」とうまさに圧倒された。
「何でそんなにうまいんですか?」
「プロの試合に出てから上達したんだよ」
その時、聞いた言葉を今は身をもって実感している。「難しい状況、速いグリーン、緊張した中でパターを打たなきゃいけない。その分、上達できた」。ツアーの修羅場がパッティングのレベルを自然と押し上げた。
第2日は昨年と同じく片山とのラウンドに決まった。1年前も初日3位と好発進し、最終組で片山と初ラウンド。王者の雰囲気にのまれてガチガチになり、74を叩いて失速した。ただし、今回は気後れはない。「プロとして優勝できて、この試合にも出られた。それなりには自信を持ってできる」。王者にも1年間の成長の跡を見せる場面がめぐってきた。