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素晴らしい輸入品がまたやってくれた 岡島、またしてもヤンキースを撃沈
Another outing of great import
2007年05月02日
(アマリー・ベンジャミン Boston Globe Staff)



4月29日(日本時間30日)のヤンキース戦でまたも好投を見せた岡島。連続無失点記録を継続している【 (C)Getty Images/AFLO 】
松坂よりも存在価値を高める岡島
 もし、ヤンキース戦でのパフォーマンスが、(控え選手からエースまですべての)レッドソックスの選手としての価値を計るバロメーターとなるのであれば、今、 信じられないような現象が起きている。岡島秀樹は同じ日本人投手、松坂大輔よりも良いピッチングをしており、その存在価値を高めている。

 先発投手とリリーフ投手を同じようには扱えないので、松坂との成績では単純に比較しないほうが懸命だ。その代わり、最も比較するのに適した投手として、昨季過去に例を見ないほどの大活躍を見せたジョナサン・パペルボンが挙げられる。

 両投手ともに、ここまで打ち崩すことが不可能に近い状態だ。実際、岡島がカンザスシティーでのメジャー初登板の初球をジョン・バックに本塁打されて以降、両投手は、1カ月経った現在まで1点も許していない(パペルボンは現地時間1日のアスレチックス戦で初失点を許した)。これは、かなり驚くべきことである。

「俺にとっては、今のところ彼がMVPだ」
 4月29日(現地時間)、ヤンキースが4-7で敗れた試合の7回、自身の打席で代打ジョシュ・フェルプスを送られたため岡島との対戦を逃したダグ・ミントケイビッチはこう切り出した。さらに、「レッドソックスとの対戦では彼が登板するたびに、相手が試合の流れを変えるチャンスを得ているようにさえ感じる」と続けた。

「彼はほかの投手と異なる。まずボールの角度が素晴らしい。それに球種も豊富で、われわれが見たことのないような球を投げる。彼はリリーフ投手だから、1試合にたいてい1度しか対戦できないし、やっかいな相手だ」

 ミントケイビッチのコメントを伝え聞いた岡島は、ほおを紅潮させて笑った。
「まだシーズンは始まったばかりです」
 岡島は通訳を介してこう答えた。そして、
「もし、シーズン終盤になっても同じような言葉を聞けたら、ベリー、ベリーハッピー。これからもこの成功が続くよう、謙虚に一生懸命頑張りたい」
 とコメントした。

ヤンキース戦で最も目立った活躍
 先発のジュリアン・タバレスの後を受けて、いつもの8回ではなくヤンキースの上位打線を迎える6回途中から登板した岡島は、マイク・ティムリン、パペルボンへの橋渡しの役割をきっちりと果たした。もはや左打者専用のスペシャリストではなく、岡島は6回と7回の2イニングをアレックス・ロドリゲスに許した1安打に抑え、4三振(ボビー・アブレイユ、ジェイソン・ジアンビー、ホルヘ・ポサダ、フェルプス)を奪った。

 この日の好投で、防御率は0.84から0.71になり、自身の連続無失点記録は12イニングスに伸びた。 この期間、彼が許したヒットはたった3本。そして、ただ単に打者を打ち取るだけでなく、(直近の)26個のアウトのうち15個を三振で奪うなど、完全に打者を翻弄(ほんろう)している。

 それに、彼はヤンキースに対し、オリオールズやほかのチームと比べて特別な意識を持っていないにもかかわらず、(これはファンの思い過ごしてはなく)5イニングで3安打、7奪三振、1セーブと、ヤンキース戦で最も目立った活躍を見せているのだ。

岡島「ここまでの活躍は予想していなかった」
 一方で、岡島はまだシーズンは先が長いことをほのめかした。
 もしかすると、29日にロドリゲスが指摘した打者のタイミングをずらす独特の投球フォームは、次第に慣れられるかもしれない。メジャーリーグの打者は適応してくるはずだ。

「彼はここまで素晴らしい活躍をしている」
 とテリー・フランコーナ監督。
「彼の速球はシーズンが進むにつれて良くなっている。チェンジアップに大きな自信を持っているし、暖かくなるにつれてカーブも良くなり始めている。彼は3つ良い球種を持っている。それでも、いつか速球でストライクをとらなくてはならない場面が出てきて、打たれることもあるだろう。なぜなら、95マイル(約152キロ)の球速ないし、球筋も素直だからだ」

 岡島は、ここまでの特筆すべき活躍を予想していたかと聞かれ、
「いや、ここまでの活躍は予想していなかった」
 と答えた。
 そして、 活躍の理由についてを尋ねられたとき、彼はまず肩をすくめて、「分からない」と言った。そしてその後、「肉体面でも精神面においても、(活躍するための)十分な準備をしている」と付け加えた。

<了>