消化管疾患の、小腸・大腸・肛門の疾患のお話。
今回は薬剤起因性腸炎の、薬剤性大腸炎の説明です。
★[薬剤性大腸炎]drug associated enterocolitis★
【概念】
薬剤によって生じる腸炎であり、原因薬剤によって、
々垣己質起因性大腸炎(出血性大腸炎、偽膜性腸炎)
NSAIDs起因性腸炎
その他の薬剤(抗癌薬など)による腸炎
に分けられます。
本項では主に抗生物質起因性出血性大腸炎について記します。
●成因
薬剤に対するアレルギー反応や菌交代現象が関与していると考えられていますが、現時点において発症メカニズムは解明されていません。
●臨床像
[抗生物質起因性大腸炎]
抗生剤、特にペニシリン系薬剤の投与後2~7日(平均5日)にて、突然の血性下痢、腹痛を生じることが特徴です。
重症化することはまれであり、起因薬剤の投与中止後数日から1週間で軽快・治癒する症例がほとんどです。
[NSAIDs起因性腸炎]
NSAIDs服用中に生じる下痢、下血などが主要な臨床症状ですが、現時点において疾患特異的な臨床像は明らかではありません。
●検査所見
[抗生物質起因性大腸炎]
《大腸内視鏡検査》
深部大腸を主体としたびまん性の粘膜出血、びらん、浮腫を認め、また不整型の浅い潰瘍を認めることもあります。
下部直腸に病変を認めることはまれです。
《血液化学検査》
白血球増加、CRP陽性、赤沈亢進がみられ、便培養にてKlebsiella oxitocaが高率に検出されます(病因に関連しているとの報告もあります)。
[NSAIDs起因性腸炎]
《大腸内視鏡検査》
現時点において特徴とされる所見は明らかではなく、発赤、びらん、多発潰瘍などの多様な報告があります。
●診断・鑑別診断
虚血性腸炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎などとの鑑別が必要となります。
大腸内視鏡検査のみでは鑑別が困難なこともあり、先行する薬剤の服用歴の有無を確認することと、便および生検大腸粘膜における細菌学的検索や病変の生検による病理学的検査によって他の腸炎を否定することが重要です。
また薬剤中止後に臨床症状や大腸内視鏡所見の改善が得られることも確定診断への有力な手がかりとなります。
●治療・予後
原因薬剤の中止および腸管を安静に保つことで速やかに改善します。
重症化することはまれです。
●コラム:NRSA腸炎
最近、NRSA腸炎も抗生物質投与による菌交代現象であることから抗生物質起因性腸炎の1病型に加えられるようになりました。
消化管手術後の発症が多く、激しい水様性下痢をきたすことが特徴です。
今回は薬剤起因性腸炎の、薬剤性大腸炎の説明です。
★[薬剤性大腸炎]drug associated enterocolitis★
【概念】
薬剤によって生じる腸炎であり、原因薬剤によって、
々垣己質起因性大腸炎(出血性大腸炎、偽膜性腸炎)
NSAIDs起因性腸炎
その他の薬剤(抗癌薬など)による腸炎
に分けられます。
本項では主に抗生物質起因性出血性大腸炎について記します。
●成因
薬剤に対するアレルギー反応や菌交代現象が関与していると考えられていますが、現時点において発症メカニズムは解明されていません。
●臨床像
[抗生物質起因性大腸炎]
抗生剤、特にペニシリン系薬剤の投与後2~7日(平均5日)にて、突然の血性下痢、腹痛を生じることが特徴です。
重症化することはまれであり、起因薬剤の投与中止後数日から1週間で軽快・治癒する症例がほとんどです。
[NSAIDs起因性腸炎]
NSAIDs服用中に生じる下痢、下血などが主要な臨床症状ですが、現時点において疾患特異的な臨床像は明らかではありません。
●検査所見
[抗生物質起因性大腸炎]
《大腸内視鏡検査》
深部大腸を主体としたびまん性の粘膜出血、びらん、浮腫を認め、また不整型の浅い潰瘍を認めることもあります。
下部直腸に病変を認めることはまれです。
《血液化学検査》
白血球増加、CRP陽性、赤沈亢進がみられ、便培養にてKlebsiella oxitocaが高率に検出されます(病因に関連しているとの報告もあります)。
[NSAIDs起因性腸炎]
《大腸内視鏡検査》
現時点において特徴とされる所見は明らかではなく、発赤、びらん、多発潰瘍などの多様な報告があります。
●診断・鑑別診断
虚血性腸炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎などとの鑑別が必要となります。
大腸内視鏡検査のみでは鑑別が困難なこともあり、先行する薬剤の服用歴の有無を確認することと、便および生検大腸粘膜における細菌学的検索や病変の生検による病理学的検査によって他の腸炎を否定することが重要です。
また薬剤中止後に臨床症状や大腸内視鏡所見の改善が得られることも確定診断への有力な手がかりとなります。
●治療・予後
原因薬剤の中止および腸管を安静に保つことで速やかに改善します。
重症化することはまれです。
●コラム:NRSA腸炎
最近、NRSA腸炎も抗生物質投与による菌交代現象であることから抗生物質起因性腸炎の1病型に加えられるようになりました。
消化管手術後の発症が多く、激しい水様性下痢をきたすことが特徴です。