妊産婦・女性生殖器の、女性のライフサイクルと好発疾患のお話です。

★[女性のライフサイクルと好発疾患]★
●ライフサイクル
女性の一生は、男性のそれに比べ、より明瞭な年齢的区分を示します。
この区分は、一般に(新生児期)小児期、思春期、性成熟期、更年期、老年期に区別されます。
‐児期
  生殖能力をまったく欠如する時期で、この間の女性は少女と呼ばれる。
∋彌婀
  初経(日本人平均12.3歳)の発来をみる時期で、小児期から性成熟期への移行期です。
性成熟期
  生殖能力の発現によりその消失までの時期で、この期の女性を成熟婦人または単に婦人と呼びます。
  第二次性徴が完成します。
す糠期
  成熟期から老年期への移行期で、生殖機能の衰退する時期にあたり、この期の女性を更年期婦人と呼びます。
  日本人の平均閉経年齢は50.5歳です。
ハ掲期
  生殖機能が完全に消失した時期で、この期の女性を老婦人と呼びます。
以上のように、女性のライフサイクルは、月経の有無、その原因となる内分泌機能および性機能の消長による区別が明瞭です。
それに相呼応して女性の好発疾患も変わっていきます。

●年齢と病像
また、同じ種類の疾患でも年齢によって病像が異なることがあることに注意しなければなりません。
たとえば性器の淋病感染症は、成人では尿道炎を起こすことが多いのに対し、小児では外陰炎、膣炎の病像をとることが多いです。
これは卵巣機能との関連を示しています。
《自律神経機能の疾患》
 初経、閉経によって象徴される思春期、更年期には、卵巣機能を中心とする内分泌活動が急激に変動するため、自律神経機能の変調を招きやすく、自律神経失調症や更年期障害、さらに若年性出血や更年期出血が問題となります。
 閉経に伴う内分泌、代謝の変調は骨粗鬆症や高コレステロール血症をきたすことが少なくありません。

《妊娠関連疾患》
 性成熟期婦人では、妊娠、分娩、産褥にまつわる疾患が多く、妊産褥婦では、非妊娠と同様の疾患の他に、妊娠産褥婦特有のいろいろな疾患に罹患するので、治療上からも両者を区別することは極めて大切です。
 医療現場では昔から「女をみたら妊娠を疑え」という言葉があるように、成熟期婦人では月経の周期、最終月経の時期を問診で確かめ、少しでも妊娠の疑いがあるときには産婦人科医と相談するか、簡便な妊娠反応で確認します。
 妊婦では、母体と胎児とが同時に診療対象となり、しかも、治療上両者いずれにも犠牲を強いないことが原則です。

《性器出血》
 閉経前には良性腫瘍、および妊娠の異常が占める割合が高く、閉経後では悪性腫瘍の頻度が極めて高いことが特徴です。