■越境ECの今後の可能性
経済産業省の調査によると、経済的な成長に伴い消費生活の近代化と
成熟への希求が見られ、積極的に外国の製品・文化を取り入れている
姿勢が見られます。
中でも日本製品は、基本的には品質が高く、技術力が優れているという
ポジティブなイメージが抱かれており、商品種類の豊富さ、デザイン性
の高さ、耐久性のよさ等が高評価の理由となっています。
一方で、購入意向は高いものの、共通して価格が高いイメージもあり、購
入の際の阻害要因となっています。
調査対象国
「香港、シンガポール、タイ(バンコク)、インド(ムンバイ)」
品質が安定しない製品やサービスがまだまだ多いアジア諸国に於いては、
信頼感、安心感は、日本における以上に価値あるイメージとなっています。
ステータス感やデザイン性などにおいては欧米のブランドの方が評価が高
いケースも見受けられましたが、この「品質への信頼感」に関しては日本
の優位は確かなものであり、この信頼感をベースに、各国それぞれのニー
ズに合った製品をアピールしていくことで強い支持を得られるのではない
でしょうか。
また、価格の問題に関しては、例として家電等の人気が高い韓国製品は、
日本製品ほど全てにおいて高機能ではないものの、求められる機能を絞り
込んで価格を抑え、積極的なプロモーションで浸透を図っている様子がう
かがわれました。
消費者の関心のある機能においての先進性は確保しつつも、価格を抑えた
商品をアピールしていくのが有効な場合も多いのではないかと考えられま
す。
日本製品を浸透させるためには、コンテンツ輸出も効果的ではないかと考
えられます。
ウェブサイトやブログ・動画等を利用して日本のポップカルチャーを積極
的に発信し、越境ECの顧客の獲得に成功している企業が見られます。
より一般的な日本の「いま」を伝えるコンテンツの輸出に一層の力を入れ
ることによって、日本のライフスタイルや日本製品のブランドイメージな
どへの理解、親しみを醸成することが、全産業への追い風となるのではな
いかと考えられます。
---ポイント---
1)日本製品の品質への信頼感をベースとした上でさらに各国のニーズに
応えることで、より多くの支持を獲得できると考えられる。
2)機能の先進性のアピールや、低価格商品のプロモーションに注力する
マーケティングが有効と考えられる。
3)日本の「いま」を伝えるコンテンツを浸透させることで、日本のライフスタ
イルや製品に対する親しみを醸成する。