株式会社野村総合研究所が、国内の生活者には「利用者登録」に関して、
また消費者向けのビジネス(Bto ビジネス)を営む事業者には
「顧客情報の活用」をテーマに、それぞれアンケート調査を実施した。
生活者については、2008年度に実施した同種調査との比較も行っている。
当研究所によると、今回の調査結果から見えてきたのは、生活者が
利用者登録する商品・サービスを選別する傾向が強くなる中、事業者は、
顧客情報の鮮度を維持するための方法を、具体的に検討する必要が
あるということだった。
生活者は商品・サービスの購入時に、事業者に個人情報を登録することに
関して、商品・サービスによってその是非を選別する傾向が強くなって
きている。
具体的には、「商品やサービスの種類によって登録する」と回答した割合が、
2008年度の66.1%に対し、2011年度は89.2%に増加している。
また、利用者登録を行う理由としては、「登録が簡単ですぐにできるもの
であれば登録する」21.8%に対し、「アフターサービスやメンテナンスの
ために必要であれば登録する」82.8%、「インセンティブ(ポイントなど)が
あれば登録する」60.8%となり、登録時に手間が少ないことよりも、登録に
よって得られるメリットや必要性を重視する生活者が多いことが分かった。
事業者は、利用者登録をしてもらう際に、生活者に対してメリットや意義を
提示することが重要であると考えられる。
なお、生活者がネットサービスを利用する際、「確実に記憶することができる」
と思っているログインIDとパスワードの組合せの数は、2008年度と2011年度の
いずれも、平均3.1個程度で、IDとパスワードを使いログインするサイト数の
平均も、2008年度の19.2個に対し、2011年度は19.4個と大きな変化は見られ
なかった。
一方、事業者に対する調査で、商品・サービスの提供や経営に活用するための
顧客情報の保有について尋ねたところ、「保有している」と回答した事業者が
80.5%で、その活用目的は、「販売促進」が最も高く78.7%、次いで
「顧客サポート」が64.0%となった。
顧客情報を保有・活用している事業者の6割強は、「売上拡大」や「顧客数増加」に
効果があったと回答している一方で、3割程度の事業者は、顧客情報の活用に
よる効果は「わからない」と回答している。
また、「販促費・広告費などの削減」に効果があったという回答は約3割に
とどまっており、コスト削減の効果は限定的であることが分かった。
また、保有している顧客情報に更新があった場合、その情報の取得を望む事業者は
46.6%存在し、そのうちの75.3%は更新のために費用を負担しても良いと考えていた。
費用負担が可能な平均額は、1件あたり175円(商材の販売価格が高い「不動産業」と、
「その他」および無回答のサンプルを除く)で、顧客情報の鮮度維持のためには、
相応の費用をかける価値があると考える事業者が多かった。
ECサポーターより
http://www.tsuhan-ec.jp/news/102316
--ひとこと--
顧客情報の鮮度維持のためには相応の費用をかける価値があると考える事業者が
多いが、どうやって顧客情報の鮮度維持をするか重要で、顧客から情報を取る
タイミングとその時に必要な情報だけを取る仕組みが必要だと思います。
顧客ごとにシナリオを作り、アプローチして、必要な情報を取る仕組みを
事業者が試行錯誤しながら構築することがノウハウであり、そこに費用を
かける価値があると思います。