第3回 京浜急行に乗って
「Beep」の初代編集長豊田さんは、彼が会社を辞める前に羽田の近くにあるゲーム会社に私を連れて行ってくれた。
この会社は、広報の人がよくしてくれるんだけど、まだたいした付き合いができていないんだよね。何か取っかかりになるような企画があったら考えてくれないかな。
と豊田さんに言われていたので、京浜急行に乗って大鳥居に出かけた。ちなみに「レンタヒーロー」的にはオートリーである。
その大鳥居の改札を出て、歩いて数分のところにめざす会社はあった。完成したばかりの新社屋の横にある、2階建ての町工場風の建物。入り口横のプレートには、株式会社セガ・エンタープライゼスと書かれていた。
私たちが玄関に入ると、すぐに薄暗くて閑散とした事務所に通された。
そこでは、町工場ふうのジャンパーを着たネクタイ姿の男たちが、デスクに向かって黙々と働いていた。やがて、眼鏡をかけた男が近寄って来て、名刺を差し出した。
その宣伝部の部長は、「うちにマスコミの人が来るのは珍しくてね。電波新聞社と徳間書店で攻略本をやってる編プロ、それにお宅ぐらいなんだよ。これからちょくちょく遊びに来てよ」とぶっきらぼうに言った。
徳間書店のテレビランドわんぱっくシリーズの「セガ・マークⅢ大作戦」。この攻略本を編集していたワークハウスというプロダクションは当時セガの常連だった。
