河童が貯金箱になった理由(わけ) 1 | スナミちゃんのひとこと

昔・・・むかし

今から250年ほど昔のことじゃ・・・。

飛騨の国の山奥の

そのまた山奥のことじゃった。

 

人ひとり来ぬような

そのまた山奥に

昼も夜も

緑に輝く沼があったとさ。

 

鬱蒼とした樹々に囲まれた

蛍光グリーンのような緑の沼は

結構でっかくて、そうさなァ・・・

東京ドーム10個分の大きさは

ゆうにあったんじゃ。

 

こんな大きな沼も

人里からは随分と離れておるし

ここまで入り込むには

ケモノ道一本ないため

だあれも知らん

秘密の沼じゃった。

 

沼の真ん中に、丁度

そうじゃな・・・

ピッチャーズマウンドあたりに

ピラミッド型をした石の島が

ボコーンとひとつある。

なんといったかのぉ・・・

磁力を持った石でのぉ。

その上で河童が一匹

日がな一日

仰向けになって寝ておったんじゃ。

 

河童はボーンヤリ

青い空を見つめておった。

心の中は空っぽで

実はとても

寂しい気持ちだったんじゃわなァ。

なんぼ考えても虚しゅうて

心の中に

ポッカリ穴が空いたような・・・。

よほどショックな

事件(コト)があったんじゃろうのォ。

 

 

〈つづく〉