(東海林)娘は、セリフ以外しゃべらないんだ。
【世にも奇妙な物語 SMAPの特別編】
2016年11月26日に再放送された番組。
過去記事を再編集。
≪エキストラ≫
SMAPの特別編で、1番目の作品
【キャスト】 只野一郎(香取慎吾) 女性(矢田亜希子)
【スタッフ】脚本:中村樹基 演出:星 護
(一郎)そのアルバイトが、僕の一生を決めるとは思わなかった。
EXTRA CO.事務所。
面接を受ける俳優志望、只野一郎(香取慎吾)。
面接官が時間・場所・相手を指定。
『このセリフ言ってくれる?』
一枚の紙切れを渡される。
(一郎)これって・・・テレビドラマですか?
(面接官)いや、ドラマじゃない。
(一郎)・・映画、ですか?
(面接官)いや、映画じゃない。
(一郎)でも・・・カメラとかあるんですか?
(面接官)いや、カメラはない。
(一郎)え・・・じゃあ。
(面接官)ないとできない?やめる?
(一郎)やります!やります!
当日、指定された場所に行く一郎。
オフィス街で、カメラはない。
紙を確認し、茶色の服を着た男を探す。
ベンチで涙を流す 白いコートの女性(矢田亜希子)を見つめる一郎。
茶色のコートの男は、男友達と一緒に、一郎に近づいてくる。
(一郎の心の声)来た来た。たぶん、あの二人だ。
一郎も、相手の男も、セリフ通りに会話をする。
同僚の紹介や、担任のメガネ熊があだ名の猪熊先生の退官の話、今晩打ち合わせで電話する話などをし、「またな」と別れる。
(一郎)ここまで、だよな。
不信に思いながらも、群衆に巻き込まれるようにして現場から立ち去る。
ギャラ(5000円)は、翌日、振り込まれた。
腑に落ち無いが、生活のために、訳が分からないまま、エキストラの仕事を続ける。
次の仕事は、喫茶店で
「エスプレッソとアメリカンバーガー、マスタードはたっぷりね」
と言うセリフだった。
(一郎・心の声)どう考えても、何も意味もないようなセリフが多かった。
セリフを言い、辺りを見渡す一郎。
他のお客も、煙草などに書かれた台詞を言ってるのだと気付く。
一郎は、EXTRA CO.事務所で面接官に質問する。
(一郎)教えてください、この仕事のこと。訳分かんないことだらけじゃないですか。何か意味あるんですか?
(面接官)意味はある。君はよくやってくれているよ。だからこそ、ギャラを支払っている。
(一郎)でも、誰も見てないとこで芝居だなんて・・
(面接官)これは、見る、見ないの問題じゃない。君がセリフを言う。それがその場にすんなりと収まる。それでいいんだ。次の仕事。
ある日セリフの漢字「東海林」を「とうかいばやし」と読み違える。
周囲の人々の動きが全て停止。
驚く一郎は、セリフを確認し、もう一度「東海林(とうかいばやし)」と言う。
全員、一斉に首を横に振る。
正しい読み方(しょうじ)を相手に小声で教えてもらい、言い直す。
再び、周辺の人々が動きだす。
混乱する一郎。
(一郎)俺が、セリフを間違えた・・から?
街の中の人々も、看板や缶コーヒーに書かれたセリフを言っていることに気付く。
(一郎)一体、どうなっているんだ?
メンタルクリニックで相談する。
医師が言っている言葉がカルテに書いてあり、セリフだと気付く。
(一郎)先生、あんたも・・・
慌てて外に出た時、掃除のおじさんとぶつかる。
その相手は、「東海林」と読み間違えた男性。
喫茶店で、世界中の誰もが、主役とエキストラに分かれ、暮らしているのだと聞く。
東海林の家に行くと、娘・矢田さんがいた。
無言で礼をして去っていく。
(東海林)娘は、セリフ以外しゃべらないんだ。
ある日、東海林にも主役がくる。
その主役とは、飛び降り自殺者。
そこに集まってくる人々も、目撃者のエキストラ。
(一郎)やめろ!
自殺を止めようとする一郎に、注射が刺さる。
目が覚め、帰宅するが、自分の家はなかった。
セリフ以外の言葉は通じない。
事務所に行くと「只野一郎の一生」という台本があった。
結婚相手も、オーディションで決めたという。
月日が流れ、結婚相手との最初の出会いの日。
ぶつかって、鞄をひろうシーンだが、そこに矢田さんがいた。
結婚相手ではなく、矢田さんに話しかける。
名前を教えてもらい、微笑む一郎。
全て台本通りだった・・・
End