(樋田)朝日新聞が間違っていることもありますし、激しい議論が起こる事もあります。しかし、立場の違いを認めず、考えの異なる者を銃で撃ち殺し、それが正義だと主張したのが赤報隊です。そういう意味で、殺された小尻記者に向けられた銃弾は、自由な社会を求める 私たち一人一人に向けられたものなんです。だから、ああいう暴力は、絶対に認められない!
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未解決事件「File.06 赤報隊事件」
話の流れを簡単に。
【朝日新聞阪神支局襲撃事件】
1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局へ散弾銃を持った男が侵入。その場にいた3人の記者のうち、小尻記者と犬飼記者が撃たれ、小尻記者は死亡。犯人は、身長160-165cm 中肉中背、やや細目、20-40歳、黒の目出し帽。
事件をテレビのニュースで知った大阪本社社会部の樋田記者(草なぎ剛)は、現場に駆けつけようとするが、指示が出るまで自宅待機を言われる。
仲間を殺された朝日新聞社は、樋田記者を含むメンバーで特命取材班を結成した。
特命取材班は、記事は書かず、ひたすら犯人を追い続けた。
5月6日。時事通信社と共同通信社の両社に「赤報隊一同」の名で、以下の犯行声明が届く。「われわれは本気である。すべての朝日社員に死刑を言いわたす」「反日分子には極刑あるのみである」「われわれは最後の一人が死ぬまで処刑活動を続ける」
首相の靖国神社公式参拝や歴史教科書問題に対する朝日新聞の対応が原因とされ、
300件以上の脅迫電話や不眠症に悩まされながら、疑わしい人物を絞り出していった。
さらに、同じ年の9月【朝日新聞名古屋本社社員寮襲撃事件】発生。「反日朝日は五十年前にかえれ」と戦前回帰、戦後民主主義の全否定、戦後の朝日新聞への敵意を示す犯行声明文が届く。
実は、遡ること、その年の1月【朝日新聞東京本社銃撃事件】が起きていたことが判明。
翌年、1988年3月【朝日新聞静岡支局爆破未遂事件】【中曾根・竹下両元首相脅迫事件】
1988年8月【江副元リクルート会長宅銃撃事件】
1990年5月【愛知韓国人会館放火事件】
事件が続く中、警察より先に、ある重要人物である、右翼関係者・林の家に行く。
赤報隊事件についてどう思うかなど、お互いの意見を述べるが、樋田の質問に逆上する林。
(林)樋田さんは、何が言いたいんだ!?あれは、僕はやっていない。やれと言うこともできない。何が聞きたいんだ?はっきり言ってくれ。
(樋田)林さんがやったとは言っていません。ただ、どうして、ああいう事件が起きたのか犯人に聞きたいと思ってるんです。
(林)・・・そうか。その気持ちは分かる。
ここで、樋田は、亡くなった小尻の家族写真を見せる。
(樋田)先ほどのような事を、小尻記者の遺族の前で言えますか?
(林)・・・言えないかもしれない。しかし、あなた方は、阪神支局事件の事ばかり言うが、南京大虐殺があったかどうかの論争でも、朝日新聞は記事に間違えがあっても、訂正記事を書かなかった。
(樋田)マスコミは、紙面に責任を負うべきだとの意見は、もっともです。しかし、それでも暴力は認められない。
(林)我々には、発言する機会さえ与えられないじゃないか。だから、暴力という・・・
(樋田)聞いて下さい。この社会には、多様な見方、考え方があります。メディアの世界も同様です。
(林)そんな事は分かっている。
(樋田)朝日新聞が間違っていることもありますし、激しい議論が起こる事もあります。しかし、立場の違いを認めず、考えの異なる者を銃で撃ち殺し、それが正義だと主張したのが赤報隊です。そういう意味で、殺された小尻記者に向けられた銃弾は、自由な社会を求める 私たち一人一人に向けられたものなんです。だから、ああいう暴力は、絶対に認められない!
犯人が捕まらない中、樋田記者は、右翼団体関係者への取材を続ける。
しかし、無惨にも時効は成立した・・・
2017年、カフェで話す樋田記者と辰濃記者。
(辰濃)今、ネットもひどいですよ。まさに、憎しみの連鎖です。
(樋田)・・・この前、取材した右翼がこんなことを言っていた。「我々にとって、捕まらない赤報隊は好都合だ。記事や言動次第では、赤報隊が再び動き出すぞっていう無言の圧力になっている」ってね。
(辰濃)ふざけた理屈だけど、その通りかもしれませんね。
(樋田)実際、赤報隊は動きを止めているだけかもしれない。いつ、また、我々に銃口を向けてくるか分からないよ。
別れ際、樋田さんに質問する辰濃さん。
(辰濃)樋田さん。いつまで取材続けるつもりですか?
(樋田)僕が取材を止めたら、犯人に負けた事になる。
ここで、ドラマは終わり。
朝日新聞阪神支局は建て替えられ、時効を迎えたが、事件の資料は今も保管されている。
草なぎ君が演じた樋田さんは、65歳で退職したが、「それでも犯人を追い続ける」と墓前で誓う。
(樋田)これは、赤報隊との戦いなんだと。このまま闇に消えるのは卑怯じゃないか。なぜ事件を起こしたのか、正々堂々と我々の前で語ってほしいと赤報隊に言いたい。
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いや、もう、草なぎさんの演技力に圧巻されました。
様々な未解決事件がある中、当時その事件を体験していない人は知らないままだし、
体験しても、人間、当事者でない限り、すぐ忘れていくわけで。
こうやって、再現ドラマもすることで認知させていくことも大切なんですよね。
そして、それを演じる役者さんにも、重圧がかかりますよね。
だって、一般的なドラマと違って、こういう類いのドラマは興味がなければ見ない気がしますもの。
今回、草なぎ君が出たことで、記憶に残りました。
さすが、天才・草なぎ君(*^^*)
第2夜は、今夜21時からです★