第9332回「北村薫のミステリー館 その13、神かくし、出久根達郎 その14、一寸法師ネタバレ」
第9332回は、「北村薫のミステリー館 その13、神かくし、出久根達郎 その14、日本変換昔話 一寸法師 ストーリー、ネタバレ」です。
「その13、神かくし」出久根達郎著
原稿用紙5枚程度の私小説風の掌編です。 著者の出久根さんは、『 中学卒業後集団就職で上京し、月島の古書店に勤める。1973年独立し、杉並区で古書店「芳雅堂」を営む。 』という経歴を持った作家です。
"私"が子どもの頃になじんだ童話に再会したのは、ある湯治場でのことでした。家族とはほとんど縁を切った老人たちが長期滞在しているような温泉宿のことでした。しかも、その童話には"私"の名前が書かれていました。祖母がこの湯治場に持ち込んだようです。
宿の主人に訊けば、戦前、この湯治場で生まれたばかりの赤ちゃんを遺して母親が亡くなったそうです。その子どもを育てたのが、世捨て人とも言うべき老人たちでした。本なども持ち寄り、金も出し合ったそうです。そういえば、"私"の祖母もここにはよく来ていたように聞いています。
しかし、その子どもも長じて学徒として動員され、戦死したそうです。祖母は「神隠し」と称してここに来ていたのでしょうか、あの童話本も持参して・・・・。
「その14、日本変換昔話 少量法律助言者(一寸法師)」原倫太郎企画
絵本です、ただし、ひとつの企画を提示しています。文章は次の順序で表示されています。
① 童話原文
② 翻訳ソフトによる英語翻訳文
③ 英語翻訳文をさらに翻訳ソフトを介して日本語に翻訳
30ページほどの絵本です、①から③が順次表示されます。タイトルとなっている「一寸法師」は、「A lttle , law mentor 」と英訳され、さらに日本語翻訳では「少量法律助言者」となります。企画としては面白いのですが、成功しているかと言えば・・・・。
絵は原游さん、文章は小沢正さんが担当し、企画全体は原倫太郎さんがコーディネートしています。ストーリーは、一寸法師の冒険そのままです。あえて著しい変更は加えられていません。
原文が2度翻訳ソフトを通すことによって、どのように変貌しているのか、一部紹介したいと思います。
『 昔々あるところに一寸法師という小さな子どもがいました。 』
≪ 昔々ずっとまえに若干の法律助言者の小さい子供がいたことがありました。 ≫
『 「よしよし、体に気をつけてな。』 おわんの船に、はしのかい 』
≪ 身体は大丈夫に大丈夫に注意してください。」それはボールの船の中はしものですか?≫
『 ぶらぶら歩いているうち、やってきたのが一軒のお屋敷の前。 』
≪ それはプラジャー・プラジャーといっしょに歩いている間、来ました、一軒のマンションの家の正面。 ≫
『 「まあかわいい。」 お屋敷のお姫さまは大喜び。 』
≪ 「ああ、それはキュートです。」 大邸宅のプリンセスは非常にうれしいです。 ≫
『 そこへ、がらんと飛び出してきたのが赤鬼と青鬼。 』
≪ そこで、外にむなしくジャンプしたのは赤い悪魔および青い悪魔です。 ≫
『 「いてててて、これはたまらん。」 二匹の鬼は大あわてで逃げていってしまいました。 』
≪ 「それはそうです。これは蓄積しません。」 二匹の動物の悪魔はパニックになっていて、そして逃げました。 ≫
『 「お姫さま、このこづちで私の背を大きくしてください」 』
≪ 「プリンセスがその小さなハンマーで私の後部を大きくするはずです。」 ≫
ふたりは結婚し幸せに暮らしたそうです。「おしまい」
(追記) 「北村薫のミステリー館」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"北村薫の"と御入力ください("の"まで入力してください)。