第8755回「梅原猛著、百人一語 その60、鴨長明、手の奴、足の乗り物、方丈記、ネタバレ」
第8755回は、「梅原猛著、百人一語 その60、鴨長明、今、一身をわかちて、ふたつの用をなす。手の奴、足の乗り物、よくわが心にかなへり、方丈記、ネタバレ」です。
『 行(ゆ)く川の流れは絶えずして、しかも もとの水にあらず。淀(よど)みに浮ぶ うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止(とゞ)まる事なし。世の中にある人と住家と、またかくの如し。・・・・ 』
この文章は、「方丈記」序の冒頭の文章です。梅原氏は、方丈記を無常の書とすることに警鐘を鳴らしています。その反論の材料としたのが、タイトルに使われている言葉です。「人間には手もあれば足もある。自分の手で下男の仕事もできるし、足を使えば乗り物などいらぬ」
私は禅宗を評価していないのですが、ただ、禅宗には美風があります。上は住職から下は寺男まで、自らのことは自らがすべきだ、という思想が徹底していることです。梅原氏は、方丈記の前半は無常を説き、後半は方丈での自然な生活を礼賛していると分析します。
ひとりの人間を一面だけで評価をすることへの警鐘とも取れる記述になっています。最後に、タイトルの語の前の部分を引用することします。難しい表現ではありません。
『 ・・・・ もし、なすべきことあれば、すなはち、おのが身をつかふ。たゆからずしもあらねど、人をしたがへ、人をかへりみるよりやすし。もし、歩くべきことあれば、自ら歩む。苦しといへども、馬・鞍・牛・車と心を惱ますには、しかず。(今、一身をわかちて、ふたつの用をなす。手の奴、足の乗り物、よくわが心にかなへり) 』
(追記) 梅原猛著「百人一語」につきましては、随時ブログに取り上げていく予定です。興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"梅原猛"と御入力ください。