第8006回「戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河 五味川純平原作 山田信夫脚本 感想ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第8006回「戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河 五味川純平原作 山田信夫脚本 感想ネタバレ」




 第8006回、「戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河 五味川純平原作 山田信夫脚本 感想、ストーリー、ネタバレ」(1971年)です。第一部に比べやや短めの181分ですが、中間時に休憩が入っています。ストーリー的には、完結編へのつなぎになっています。 


 中国につきましては、劇中の表記にしたがい「支那」と表示させていただきます。


「第一部ラスト」

 『 ・・・・ そして、運命の昭和6年を迎えます。9月、関東軍は柳条湖で一線を越えます。満州事変に突入したのです。国際連盟の批判の中、日本は連盟を脱退します・・・・。


 いったん噴き出した戦火は、中国全土に拡大しました。昭和7年、上海事変が勃発します。台湾で上司と衝突した柘植(高橋英樹さん)は、紛争中の上海に配属になります。別れるにあたり、伍代由紀子(浅丘ルリ子さん)は柘植と愛し合います・・・・。時代は戦争へと大きく舵を切り始めていました。 』


「プロローグ 歴史のうねり」

 第一部の要約のあと、昭和7年から9年までが歴史年表として字幕表示されます。時代は確実に戦争に向かっていました。オープニング・タイトルのバックには、雪中で闘う抗日パルチザンが映しだされます。


「第一部 伍代家の人々」(昭和10年、1935年)

 映画は、伍代家の人々を中心に展開します。


① 伍代由介(滝沢修さん)・・・・ 五大財閥の総帥、冷徹な人物です。関東軍の暴走を危惧しています。「今は、満州から国益を引き出すこと。支那全土に戦線を拡大してはならん」、それが総帥としての考えでした。

② 伍代英介(高橋悦史さん)・・・・ 伍代家の長男、未熟さを残していますが、次第に自信を深めています。彼がレイプした趙財閥の娘・瑞芳(栗原小巻さん)は、抗日戦線に参加しています。

③ 伍代由紀子(浅丘ルリ子さん)・・・・ 長女、勝気です。男に生れて入れば・・・・、という女性です。そのためもあり、陸軍将校・柘植との間に隙間風が吹いています。

④ 伍代俊介(北大路欣也さん)・・・・ 次男、伍代財閥の息子であることを恥じ、親友・標耕平(山本圭さん)に対し、すまなく思っています。俊介が愛したのが、人妻の狩野温子(佐久間良子さん)でした・・・・。

⑤ 伍代順子(よりこ、吉永小百合さん)・・・・ 俊介の親友である標(しめぎ)を一途に愛しています。そして、左翼運動にも共感していきます。

⑥ 伍代喬介(芦田伸介さん)・・・・ 総帥の弟、満州伍代の実質経営者です。関東軍に積極的に関与し、兄とは異なり戦線拡大を画策します。


 抗日戦線で活躍していたのが、朝鮮人の徐在林(地井武男さん)でした。ですが、ことごとく中国共産党の方針と対立します。前半は徐の慟哭で終わります。同士であり恋人を戦闘中に失くしたのです。


「第二部 軍靴の足音」(昭和11、12年 1936、37年)

 休憩の後、二・二六事件が描かれます。前年の永山軍務局長刺殺事件に続いての皇道派将校によるクーデター未遂事件です(仮想敵は米英かソ連か、この点についても統制派と皇道派は対立しています)。


 伍代家の人々にも変化が訪れます。伍代財閥に疑念を抱く俊介(④)は、大学を退学し満州に行くことを決意します。親友の標耕平は、亡き兄と同じく左翼運動にのめり込んでいきます。そんな標を愛し続けたのが順子(⑤)でした。ですが、左翼一斉検挙によって標も逮捕されます。拷問の日々でした・・・・。


 日本と支那の関係に大きく影響をおぼす事件が起きたのは、昭和11年の暮れのことでした。張学良が国共合作のために蒋介石を拘束したのです。いわゆる西安事件です。以降、中国は一枚岩となって抗日に動きます。


 昭和12年7月7日、盧溝橋で武力衝突が発生します。帝国陸軍と革命軍第二十九軍が戦火を交えたのです。一挙に日本と支那は戦争状態になります。宣戦布告のない戦争として・・・・。


 抗日パルチザンとして活動していた趙瑞芳(栗原小巻さん)を逃したのが、自由人を自称する服部(加藤剛さん)でした。瑞芳を逃すことはできましたが、自らは逮捕されます。その頃、標は釈放されていました。彼の下宿で、順子は懲罰応召される標と愛しあいます・・・・。一方、俊介は不本意にも叔父の喬介(⑥)を手伝っていました。


(追記) 映画版「戦争と人間」について書いたブログは次のとおりです。

「第一部」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11905292165.html

「第二部」 今回のブログです。

「第三部」 近日中に書く予定です。