第6856回「古典落語 その143、紙入れ 三代目古今亭志ん朝 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第6856回「古典落語 その143、紙入れ 三代目古今亭志ん朝 ストーリー、ネタバレ」

 第6856回は、「古典落語 その143、紙入れ 三代目古今亭志ん朝 ストーリー、ネタバレ」です。20分ほどの噺ですが、6分程を枕に当てています。いわゆる間男ものです。


「枕 物忘れ」

 物忘れ、最近どうも多くなりました。逆に言っちゃいけないと言われながら、つい他人に話したくなるのも人情ですな。志ん朝師匠は、小噺よりもはるかに長い枕を入れて、客を笑わせます。ところで、紙入れとは、財布のことです。


「本編」

 貸本屋の新吉は、出入りの店に行きます。「新さん、今夜は旦那がいないから、のんびりしていきなさいよ」、得意先のかみさんから酒肴を奨めます。得意先ですので、無下にも断れません。夜も更けていきます。「新さん、泊まっていきなさいよ」、かみさんは増々積極的になります。


 その時、予定外の旦那が帰ってきたのです。あわてず、かみさんは新吉を裏口から逃がします。「ああ、危ねえ、危ねえ」、しかし、新吉は紙入れを置き忘れてきたのです。旦那が見れば、新吉の物だと分かるはずです。新吉は、落ち付きません。


 確認したくなって、昨夜の店に行きます。旦那は普段どおり話し掛けてきます。気が気でない新吉は、御内密にと断ったうえで、あくまで他家で起きた出来事だと称して、昨夜の出来事を語ります。「・・・・ かみさんの機転で逃げられたのは良かったのですが、その間男は紙入れを忘れて来たんですな」と語ります。


 そこを通りかかったのが、かみさんでした。「その女の人は抜け目のない人だと思うわよ。旦那を入れる前に、きっと部屋を検(あらた)めているわ」と口をはさみ、暗に自分が預かっていると話します。旦那もかみさんの話を受けて話を続けます。


「落ち」

 「たとえ紙入れに気づいたって、間男されるようなぼんやりした旦那だ、そこまで気が回らねえだろう」


(追記) 随時、「古典落語」につきましては、順次更新していくつもりです。過去に書いたブログに興味がありましたら、ブログテーマ「ねたばれ古典落語」か、下のURLをクリックしてください。

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