第5031回「名探偵ポワロ中短編、その44、料理人の失踪(コックを探せ)、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第5031回「名探偵ポワロ中短編、その44、料理人の失踪(コックを探せ)、ネタバレ」

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 第5031回は、「名探偵ポワロ中短編、その44、料理人の失踪(コックを探せ)、ネタバレ」です。スーシェ主演版のドラマでは、この短編が第一作として映像化されました。ホームズ譚に同種のトリックがあります。


「その44 料理人の失踪」

 退屈しているポワロに、ヘースティングス大尉は新聞記事を三つ紹介します。

 「銀行員、5万ポンド相当の有価証券を拐帯。

不幸な家庭生活。夫、ガスオーブンに頭をつっこんで自殺。

21歳の美人タイピスト、行方不明。エドナ・フィールドはいずこに?」(宇野輝雄氏訳)


 ですが、ポワロはいずれの事件にも興味を示しません。しばらくは、のんびりしようと考えていたのですが・・・・。そこに息を切らして飛び込んできたのが、トッド夫人でした。おしゃべりです、なかなか用件を話そうとはしません。長い雑談の後に、彼女が依頼したのが、一昨日に失踪した料理人を探してほしいということです。


 トッド夫人の夫は、「新しい料理人を探せばいいさ」という意見です。失踪したのは、イライザ・ダンという太目の中年女性でした。そして、トッド夫人が不在にしていた今日の午前中に、イライザの依頼人がトランクに収めた荷物を取りに来たというのです。


 乗り気でなかったポワロは、何故かこの事件を引きうけ、早速トッド家に赴きます。使用人としては、イライザ以外にも、アニーというメイドがいました。彼女の話では、失踪した当日、失踪するような徴候は一切なかったとのことです。


 トッド家には、主人のトッド氏以外にも、シンプソンという銀行員が下宿していました。有価証券の横領事件があった銀行に勤めており、犯人を知っていると話しています・・・・。ところが、数日ならずして、トッド夫人から調査中止の書状が届いたのです。ポワロは激怒します。「意地でも真相を解明すると・・・・」


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 ポワロは、ヘースティングスに頼み、1週間に渡り全紙に新聞広告を出します。「イライザ・ダン、この住所に連絡されたし。朗報を伝えます」、ポワロはイライザの生存を確信していたのです。数日後、イライザがやってきます。


 「オーストラリアの遠い親戚から、相当の額の遺産が入ったんです。弁護士から報せが入りました。そのためには、指定の場所に行く必要もありましたし、現在の職も辞める必要がありました。実際150ポンドも受け取っています。トッド夫人には置き手紙を残したのですが・・・・」(要旨)


 犯人は、イライザのあるものを必要としたのです。代理人が取りに来たという梱包済みのトランクでした。その中には、横領犯とされた青年の遺体が入っていました。鉄道貨物として駅留めになっていました・・・・。犯人は、トッド家の下宿人であり銀行員であったシンプソンです。


 シンプソンは、同僚に横領の罪をきせ、殺害しました。そして、遺体処理のためにイライザのトランクを使ったのです。そのために偽の相続話まででっち上げます・・・・。シンプソンの身柄は、航行中の客船オリンピア号で確保されます。


(蛇足) 遺体処理のために、遺産相続話をでっち上げるには、やはり無理があります。なお、ポワロは、イライザに料理人としての腕を磨くようにアドバイスしています。


(追記) 名探偵ポワロ・シリーズについて、過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"名探偵ポワロ"と御入力ください(ポ"ア"ロでは、一部しか検索できません)。