第5030回「名探偵ポワロ中短編、その43、プリマス行き急行列車、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第5030回「名探偵ポワロ中短編、その43、プリマス行き急行列車、ネタバレ」

 第5030回は、「名探偵ポワロ中短編、その43、プリマス行き急行列車、ネタバレ」です。シンプルな短編です。クリスティは、解決に向って読者を誘導していきます・・・・。後にクリスティは、この短編をベースに長編「青列車の秘密」を上梓します。


「その43 プリマス行き急行列車」

 死体を発見したのは、海軍士官でした。急行列車のコンパートメントに入った彼は、座席の下にスーツケースを押し込もうとしましたが、つかえて入らなかったのです。女性の死体を発見します・・・・。10万ポンド相当の宝石が盗まれていました。


 今回の依頼者は、鉄鋼王のハリデイ氏です。殺されたのは、彼の愛娘のフロッシーでした。死亡当時は、ルーパート・キャリントン卿の夫人でした。ルーパート卿は貴族とは名ばかりのろくでなしです。フロッシーは、近々離婚するつもりでした。


 派手好きなフロッシーには、フランス人の愛人もいました。アルマン・ド・ラ・ロシュフール伯爵です。ただ、伯爵もルーパート卿に劣らずろくでなしでした・・・・。しかし、ハリデイ氏にとっては、娘のフロッシーは彼の生き甲斐そのものでした。ポワロに犯人の特定を依頼します。スコットランドの担当者はジャップ警部であり、ポワロとしてもやりやすい人物です。


 フロッシーが殺された時、同行していたのが、メイドのジェーン・メイソンでした。ジェーンは、長身の男が、フロッシーと接触したことを証言します。確かに、ルーパート卿もロシュフール伯爵も長身でした・・・・。


 さらに、ジェーンはフロッシーの着ていた服について詳細に語ります。「白キツネ皮の縁なし帽子に、メタリック・ブルーの派手なワンピースを着ていました」、確かに、ジェーンが形容した女性は、列車の通路とかキオスクなどで目撃されいました。ジェーンは、途中駅で待つように主人から指示されました。何時まで待っても、フロッシーが来なかったため、駅近くのホテルに一泊しています・・・・


 一方、ジャップ警部は、故物商に流れた宝石から、犯人のひとりを逮捕することに成功します。ジェーンの証言の"裏"も取ります。ですが、犯人は共犯者については黙秘を続けています。ポワロはジャップ警部に言います。「共犯者の身柄確保については、協力できると思うよ」


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 逮捕された犯人は、レッド・ナーキーという男でした。殺人も辞さない人物です。ポワロは、事前に小男だろうと推理していましたが、レッド・ナーキーも小男でした。彼は、グレーシー・キッドという女泥棒と犯行を重ねてきました・・・・。


 ポワロが向ったのは、依頼者の住むマンションでした。メイドのスーツケースをこじ開けます。中からは、被害者が着ていたとされる帽子とメタリック・ブルーのワンピースが出てきました・・・・。ジェーンと称していたメイドが、実はグレーシー・キッドだったという"落ち"です。


 被害者が長身の男だったという証言をしたのは、彼女だけでした。ポワロは、逆に小男だと推理しています。そして、人目に立つように、わざと目立つ衣装を着た人物は、共犯者のメイドだと断定したわけです・・・・。


(追記1) 「青列車の秘密」につきましては、2回に分けてブログに取り上げました。

「感想」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10952321977.html

「ネタバレ」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10952704442.html


(追記2) 名探偵ポワロ・シリーズについて、過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"名探偵ポワロ"と御入力ください(ポ"ア"ロでは、一部しか検索できません)。