第5017回「名探偵ポワロ中短編、その40、二重の手がかり、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第5017回「名探偵ポワロ中短編、その40、二重の手がかり、ストーリー、ネタバレ」

 第5017回は、「名探偵ポワロ中短編、その40、二重の手がかり、ストーリー、ネタバレ」です。手がかりは、ひとつでいいとポワロは考えます・・・・。


「その40 二重の手がかり」

 今回の依頼者は、資産家で宝石のコレクターとしても有名なマーカス・ハードマン氏です。自宅に4人の客を招いた際に事件は起きました。外部からも見えるようにディプレイされた金庫が壊され、展示されていた宝石が根こそぎ盗まれたのです。最高の逸品が、カトリーヌ・ド・メディシスのエメラルドのネックレスでした・・・・。


 ハードマン氏としては、来客の格式を考え、警察沙汰にはしたくありません。そこで、ポワロが呼ばれたわけです。ここで、4人の来客を紹介しておきます。


① ヴェラ・ロサコフ伯爵夫人・・・・ ロシア人亡命貴族と称しています。夫人自身、宝石を多数持っています。

② バーナード・パーカー・・・・ ダイヤモンドのブローカーをしている青年です。もちろん、平民です。

③ ランコーン卿夫人・・・・ 慈善事業を専(もっぱ)らにしている典型的なイギリス貴族の夫人です。しかし、盗癖の叔母がいます・・・・。

④ ジョンストン氏・・・・ 南アフリカ人、金鉱で財をなした人物です。最近、ロンドンに来たばかりです。


 ハードマン氏は、やや貴族趣味が鼻に付く人物です。パーカー(②)を平民だとして軽く見ています・・・・。一方、ポワロは、「ロシア人貴族とか南アフリカの富豪なんて、誰でも化けることができるさ」とヘースティングスに語っています。


 ポワロは、早速金庫を調べます。手袋の片方とシガレット・ケースが遺留されていました。ケースには、"B.P"とイニシャルされています。4人の中では、唯一、バーナード・パーカー(②)のイニシャルと符合します。


 ですが、パーカーは、手袋も、シガレット・ケースも自分のものではないと否定しますが・・・・。手袋の片方が、パーカーの自宅から発見されたのです。ポワロは、他の三人の身辺も洗います・・・・。


 事件の解決に確信を深めたポワロは、ハードマン氏に犯人の名前を書いたメモを渡します。メモを見た彼は、「警察沙汰にせず、宝石を取り戻すだけでいい」と答えます。以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 手袋がパーカー(②)のものであることは間違いありません。ですが、パーカーがいかに粗忽でも、ふたつも手がかりを残すのは不自然すぎると、ポワロは考えます。手袋は、犯人が意図的に残し、シガレット・ケースこそ、うっかり犯人が忘れたのではないか・・・・。


 ですが、他の3人のイニシャルとは合致しません。ここで、ポワロはにわか勉強で身につけたロシア語のアルファベットについてヘースティングスに語ります。「ロシア語のアルファベットでは、英語のB.PがV.Rになる」、ヴェラ・ロサコフ伯爵夫人(①)はあっさり犯行を認め、宝石を返します。


 しかし、伯爵夫人の対応は、堂々たるものでした。ポワロは、痛感します。「近いうちに、ロサコフ伯爵夫人と、再び対決することになるだろう」


(追記) 名探偵ポワロ・シリーズについて、過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"名探偵ポワロ"と御入力ください(ポ"ア"ロでは、一部しか検索できません)。