第4966回「男はつらいよ全集 その37、寅次郎恋愛塾 若菜:樋口可南子」(第35作) | 新稀少堂日記

第4966回「男はつらいよ全集 その37、寅次郎恋愛塾 若菜:樋口可南子」(第35作)

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 第4966回は、「男はつらいよ全集 その37、寅次郎恋愛塾 若菜:樋口可南子」(第35作)です。


「プロローグ 寅の夢:真説、楢山節考」

 映画は、寅次郎(渥美清さん)のナレーションで始ります。「むかし、むかし、年寄は、ある年齢に達すると、山に捨てられていました・・・・」


 今年、お山に詣でるのが、おいちゃん(下條正巳さん)とおばちゃん(三崎千恵子さん)でした。寅次郎は、泣く博(前田吟さん)を叱咤し、おいちゃんを背負子に背負わせます。そして、寅次郎がおばちゃんを背負うつもりりだったのですが、重くって持ち上がらないのです・・・・。


 そんな寅次郎を起こしたのは、行商のおばさんでした。おばさんは汽車に乗り込みます・・・・。オープニングタイトルのバックでは、寅次郎と雲水との出会いが描かれています。ふたりの傍を、美人が通り過ぎます。何時までも見とれていた雲水の肘を、寅次郎は小突きます。そして、雲水を笑いものにします・・・・。


「第1章 とらやにて:満男の進路と自由論」

 寅さんの甥である満男(吉岡秀隆さん)は、ブラスバンド部でフルートを担当しています。将来の夢は音楽家になることですが、そんな満男に水を差したのが、学校の担任教師でした。「現実を見ろ」、そのことを母親のさくら(倍賞千恵子さん)に話します。


 とらやの居間で、満男の進路について議論されます。おいちゃんもおばちゃんも参戦しています。話題が、ふと寅次郎に移ります。「あいつの場合は、夢とか自由とか言う以前に、デタラメだ」、おいちゃんがばさりと斬り捨てます。もっともです。その頃、寅次郎は五島列島(長崎県)にいました。


「第2章 上五島にて:ある老婆の死」

 寅次郎は、テキヤ仲間のポンシュウ(関敬六さん)と共に、上五島(長崎県)に渡ります。そこで出会ったのが、ひとりの老婆(初井言榮さん)でした。道路でコケたのを目撃したふたりが、自宅まで送っていったのです。老婆は、一人住まいでした。寅次郎たちを歓迎します。いつしか宴会になっていました。


 ところが、深夜、老婆に異変が生じたのです。そのまま、亡くなります・・・・。老婆はクリスチャンでした。行きがかり上、寅次郎は最後まで、老婆の面倒を見ます。老婆の身寄りは、孫の若菜(樋口可南子さん)だけでした。遅れて、東京から駆けつけます・・・・。


 寅次郎は、ポンシュウと別れ、東京に戻ります。


「第3章 東京にて:若菜と民夫」

 柴又に戻った寅次郎に、一通の便りが届きます。若菜からでした。寅次郎は、若菜のアパートに出向きます。若菜は、勤めていた写植オペレーターとして働いていた印刷会社を解雇されていました。祖母の死で会社を休んだことが理由でした。そのことを聞かされた寅次郎は、発奮します・・・・。博たちに、若菜の再就職を頼みます。


 一方、そのアパートには、司法試験浪人の青年がいました。秋田の鹿角(かづの)から上京していた民夫(平田満さん)です。民夫は一途に若菜に恋していました。最初は冷やかしていた寅次郎も、心境に変化が萌(きざ)します。民夫の恋を応援しようと・・・・。


 博の紹介で、若菜の再就職も決まります。とらやに挨拶に来た若菜は、予想以上の美人でした・・・・。一方、寅次郎は積極的に民夫と接触します。タイトルにもなっていますように恋愛指導をしたのです。デート・コース、若菜との話題など、詳細に指南します。そして、寅次郎は、三人デートを企画します、もちろん、行く気はありませんでしたが・・・・。


 デート当日、予想以上に民夫と若菜は盛り上がります。そして、若菜は民夫を部屋に招きます・・・・。しかし、若菜の部屋に入った途端に、民夫が眠り始めたのです。起きる気配はありません。民夫の目が覚めたのは、翌日の朝のことでした。民夫は落ち込みます。寅次郎も突き放します。「もうだめだ」、民夫は消息を絶ちます・・・・。


「第4章 鹿角にて:民夫を探して」

 若菜は、寅次郎だけでなく、民夫の恩師である教授(松村達雄さん)にも連絡を取ります。民夫が行った先として考えられるのは、やはり故郷の鹿角しかありません。若菜、寅次郎、教授の三人は、鹿角に向います。地元にも協力を頼みます。万一自殺するかもしれないと・・・・。


 その頃、民夫は自殺に失敗していました。一方、寅次郎たちは、雪の積もっていない夏のゲレンデで、リフトに乗っていました。民夫を見つけたのは若菜でした・・・・。


「エピローグ 再び上五島にて:ポンシュウのレ・ミゼラブル」

 便りでは、民夫と若菜は結婚したそうです。そして、民夫は司法試験を断念し、地元で教師として働いているそうです・・・・。


 寅次郎は、今回の騒動の原点になった上五島に向います。若菜の祖母の葬式を執り行なった教会を訪れます。案内を請うと、出てきたのはポンシュウでした。寅と別れた後、運とツキに見放されたポンシュウは、出来心で教会に侵入し、燭台を盗み出したのです。しかし、あっさり警察に捕まります。


 そんなポンシュウをかばったのが牧師でした。「その燭台は、わたしが彼にあげたものです」、それ以降、ポンシュウは教会で奉仕していたのです。そんなポンシュウを、寅は突き放します。「バーカ、いつまでもやってろ!」


(追記) 講談社版「寅さん」シリーズにつきましては、順次ブログに書いていく予定です。既に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側の"ブログ内検索"欄に、"つらいよ全集"と御入力ください。