第4887回「名探偵ポワロ中短編、その34、ヘスペリスたちのりんごネタバレ」(ヘラクレスの冒険) | 新稀少堂日記

第4887回「名探偵ポワロ中短編、その34、ヘスペリスたちのりんごネタバレ」(ヘラクレスの冒険)

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 第4887回は、「名探偵ポワロ中短編、その34、ヘスペリスたちのりんご、ネタバレ」(ヘラクレスの冒険)です。ギリシア神話の"黄金のりんご"は、北欧神話に伝承された重要なモチーフです。


 『 ヘスペリデスの居場所を知らないヘラクレスは水神ネーレウスと取っ組み合い、これを捕まえた。ネーレウスは怪物や水、火などに変身して逃れようとしたが、ヘラクレスが捕らえて離さなかったため、やむなく場所を教えた。黄金の林檎は百の頭を持つ竜ラドンが守っていたが、ヘラクレスはこれを倒して林檎を手に入れた。ラドンは、りゅう座となった。 』


 なお、ラドンは龍とされていますが、現存する多くの絵では蛇として描かれています・・・・。


「ヘラクレス第11の功業 ヘスペリスたちのりんご」

 依頼者のエマリー・パワーは、大富豪のコレクターです。オークションで落札した"教皇アレクサンダー6世"の酒盃が盗まれたというのです・・・・。正確には、落札金額は支払い済みだったのですが、酒盃が引き渡される前に消失したというのです。


 ですが、エマリー・パワーには、盗んだ人物に心当たりがあると断言します。「黒幕は、オークションでいつも俺の邪魔をしているルービン・ローゼンサル卿さ」、ふたりは相当の確執があるようです。


 実行犯は3人でした。ふたりは逮捕され、ひとりは死亡しています。その亡くなった犯人が、酒盃を隠匿したため、闇市場にも出回っていません。一体、どこに隠されているのでしょうか、ポワロは酒盃を求めて世界中を旅することになります。"聖杯"をめぐるインディ・ジョーンズの冒険のように・・・・。


 ポワロは、消去法によって、次々とつぶしていきます。残ったのは、死んだ犯人の妹だけになりました。その妹は、修道院で尼として暮らしていたのですが、既に亡くなっています。最後のチャンスとして、修道院を訪れます・・・・。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 修道院を辞したポワロは、依頼者であるエマリー・パワーと面会します。ポワロが梱包を解くと、見事な"酒盃"が出てきました。ポワロは、酒盃に施された仕掛けについて説明します。毒を収納するスペースがあり、簡単にワインと混じるようになっていたのです。


 ポワロは語ります。「この酒盃は、修道院で聖餐盃として使われていました。元々、教会で使われていました。"教会のものは教会に"というお考えを持っていただけないでしょうか」 エマリーは、教会に返して、自分にとって何か得があるかと聞きます。


 ポワロは、「尼たちが毎日、あなた様のために祈るでありましょう」と答えます。エマリーは、すんなりポワロに酒盃を託します。「それも、有効な投資になるだろう」、洒落っ気のある大富豪でした・・・・。


(蛇足) 教皇アレクサンダー6世は、有名なボルジア家に属しています。息子のチェザーレ・ボルジアは、イタリア統一を夢見ました。ほぼ同時代の織田信長のような存在です(ただ、世界的には、圧倒的にチェザーレ・ボルジアの方が知名度は高いですが)。


 ウィキペディアから、ボルジア家について一部引用します。

 『 アレクサンデル6世は世俗化した教皇の代表的存在であり、(本来なら持つべきではない)息子のチェーザレや娘のルクレツィアを使って政治的な辣腕を振るい、一族の繁栄と教皇領の軍事的自立に精力を注いだ。


 これによって、ボルジアの名前は好色さ、強欲さ、残忍さ、冷酷さなどを代表するものとなった。カンタレラというボルジア家独特の猛毒を用いて政敵を次々に毒殺した、チェーザレとルクレツィアは近親姦の関係であったなどの噂が付きまとっているが、真偽のほどは不明である。・・・・』


(補足) 絵画"黄金の林檎"は、ウィキペディアから引用しました。


(追記1) ポワロ版「ヘラクレスの冒険」について書いたブログは、次のとおりです。

「ネメアの谷のライオン」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11286156023.html

「レルネーのヒドラ」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11286808684.html

「アルカディアの鹿」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11286965494.html

「エルマントスのイノシシ」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11287272157.html

「アウゲイアスの大牛舎」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11287561272.html

「ステュムパロスの鳥」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11288156311.html

 

「クレタ島の雄牛」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11288293542.html

「ディオメーデスの馬」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11288502050.html

「ヒュポリュトスの帯」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11288824193.html

「ゲリュオンの牛たち」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11291981732.html

「ヘスペリスたちのりんご」 今回のブログです。

「ケルベロスの捕獲」 今後書く予定です。


(追記2) 「ヘラクレスの冒険 全12編」は、スーシェ主演ではドラマ化されていません。なお、名探偵ポワロ・シリーズについて、過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"名探偵ポワロ"と御入力ください(ポ"ア"ロでは、一部しか検索できません)。