第4862回「名探偵ポワロ中短編、その27エルマントスのイノシシ、ネタバレ」(ヘラクレスの冒険) | 新稀少堂日記

第4862回「名探偵ポワロ中短編、その27エルマントスのイノシシ、ネタバレ」(ヘラクレスの冒険)

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 第4862回は、「名探偵ポワロ中短編、その27エルマントスのイノシシ、ネタバレ」(ヘラクレスの冒険)です。ヘラクレス第4の功業について、ウィキペディアから引用します。


 『 エリュマントス山に住む人食いの怪物、大猪を生け捕りにした。生け捕り自体はさしたる問題なく片づいたが、このとき、ヘラクレスはケンタウロスのポロスに助力を求めていた。彼がポロスが預かっていたケンタウロス一族の共有していた酒を飲んだ事により、ケンタウロス一族と争いになった。


 その戦いで、誤って師ケイローンにヒュドラーの毒矢を放って彼を殺してしまった。ケイローンは不死の力を与えられていたが、毒の苦しみに耐えきれず、不死の力を放棄して死を選んだ。この後、ケイローンの死を惜しんだゼウスは、彼をいて座にしたという。 』


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「ヘラクレス第4の功業 エルマントスのイノシシ」

 スイスで第3の功業を遂げたポワロは、スイスでアルプスを楽しむことにしました。シャモニー、モントルーで各3泊し、さらにケーブル・カーで高所を目指すことにします。そんな時に、ルアントゥーイュという警察関係者から手紙が届いたのです。


 マフィア関係の殺人犯であるマラスコートが、標高3000メートルのロシェ・ネージュ(架空?)のリゾートホテルに泊まるというのです。そこで、マフィア関係者が収益金の配分をする、と書かれていました。ポワロへの依頼は、マラスコートを見つけてほしいというものでした。マラスコートの写真はあるものの、面は割れていないようです。


 プレ・シーズンですので、客はまばらです。従業員か客の中にマラスコートがまぎれ込んでいる、というのがルアントゥーイュの推理です。ポワロが、ロシェ・ネージュに到着して間もなく、ケーブル・カーは、雪崩のため運行不能になります。こうして、リゾートホテルは、閉ざされた雪の山荘となりました・・・・。


 標高3000メートルのリゾート・ホテルに取り残された客は、ポワロを除き次の人たちです。

① グランディエル夫人・・・・ ホテルの常連客、凛とした美人です。マラスコートは、まさか女?

② シュヴァルツ・・・・ 旅行中の典型的なアメリカ人、ポワロに親しく声をかけてきます。

③ ルッツ博士・・・・ 鷲鼻に長身の典型的ドイツ人です。元ナチの精神科医? 孤高の人物で、ポワロの話には乗ってきません。

④⑤⑥ 競馬狂三人組・・・・ このホテルには似つかわしくない3人です、フランス語を声高に話しています。


 ホテル側のスタッフとして

⑦ 支配人・・・・ ポワロから何かを隠したがっているようです。

⑧ ガスタヴ・・・・ 解雇された前任者の代りに、新規採用された男性。自らドルエ警部だと名乗り、客とスタッフについて、ポワロに情報を与えています。

⑨⑩ 老人夫婦・・・・ 15年来、このホテルで働いている賄担当。

⑪ ロバート・・・・ ガスタヴ(⑥)が雇われる前に、給仕をしていた人物。ケーブルカーが運行停止になる前に、山を降りたかどうかは不明です。


 夜、ポワロがベッドにはいると、競馬狂三人組が部屋に乱入してきました。そんな三人を拳銃で制圧したのが、アメリカ人旅行者のシュヴァルツ(②)でした。三人を拘禁します。その騒動が契機となったのでしょうか、眠りをあきらめたポワロは、廊下に落ちていた血痕に気付きます。


 血痕をたどって行くと、オフシーズンのために使われていない棟に続いていました。そこで、残虐な方法で殺された死体を発見したのです。人相から判断すると、被害者は解雇された給仕のロバート(⑪)のようです。


 事件は、それだけでは終わりませんでした。ドルエ警部=ガスタヴ(⑧)が、顔面を傷だらけにされたのです。ルッツ博士(③)が、治療を担当します。とりあえず、マラスコートの協力者だと思われる支配人(⑦)は、監視下に置きます。果たして、マラスコートは誰なのでしょうか(ポワロは粗暴な拘禁中の三人組は候補から排除しています)。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 物語は一挙に3日後に飛びます。ケーブル・カーが復旧したのです。ルアントゥーイュ刑事が、元気な足取りでやってきます。迎えたのは、ポワロでした。顔中包帯だらけのドルエ警部=ガスタヴ(⑧)も、駆けつけてきます。


 ポワロは、この男がマラスコートだと言って、ルアントゥーイュ刑事に引き渡します。ガスタヴ(⑧)でした。本当のドルエ警部は、ガスタヴに殺されたロバート(⑪)でした。ポワロは言います。「警部であるかマフィアであるか、そんなことは話せば、すぐ分かるさ」、"ええっ"という解決です。


 マラスコート=グスタヴが、高所のリゾート・ホテルにやってきたのは、金の分配ではなく、整形でした。ルッツ博士は、優秀な外科医でした。危ないことにも、手を出していました。


(補足) 2枚の写真は、ウィキペディアから引用しました。


(追記) 「ヘラクレスの冒険 全12編」は、スーシェ主演ではドラマ化されていません。なお、名探偵ポワロ・シリーズについて、過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"名探偵ポワロ"と御入力ください(ポ"ア"ロでは、一部しか検索できません)。