第4795回「名探偵ポワロ中短編、その3、死人の鏡、ストーリー、ネタバレ」(死人の鏡) | 新稀少堂日記

第4795回「名探偵ポワロ中短編、その3、死人の鏡、ストーリー、ネタバレ」(死人の鏡)

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 第4795回は、「名探偵ポワロ中短編、その3、死人の鏡、ストーリー、ネタバレ」(死人の鏡)です。


 物語は、ゴア準男爵の依頼状が届くところから始ります。「トラブルが生じているが、警察には相談できない。御来所を請う」とありました。ポワロは、もちろん、汽車に乗り、準男爵の屋敷に向かいます。屋敷では、パーティでも開かれていたのでしょうか、多数の来客がいました。


 来客たちが不審に感じていたのは、時間に厳格な準男爵が一向に降りてこなかったことです。不審に感じたポワロは、準男爵の私室に向います。ですが、ドアは施錠されていました。青年二人にドアを壊させます。部屋の中では、準男爵が自殺していました。手には拳銃が・・・・。


 ポワロは、何故か不自然さを感じます。最大の謎は、遺体の向きと、ガラスが割られていたことです。ポワロは、屋敷内にいた来客と従業員から事情を聞きます。肝心の銃声につきましては、証言はまちまちでした。今思えば銃声だという人もいれば、シャンペーンを抜いた音だという人も、銅鑼の音のように聞こえたと言う人もいます・・・・。


 ドラマ版では大きく設定が変えられていたと記憶しています。ポワロとゴア准男爵との出会いは、オークションの場だったと思います。オークションで、問題となる"死者の鏡"を落札したのは、准男爵でした。ポワロは口惜しがります。雰囲気としては、オカルト色を出していました・・・・(もちろん合理的推理で事件は解決します)。


 ここで、重要人物を紹介しておきます。

① ジャーヴァス・シェヴニックス=ゴア准男爵・・・・ 被害者(?)です。幸運に付きまとわれた伝説とも言うべき人物です。"大胆な悪党男爵"とも呼ばれたように、その行動は破天荒でした。ポワロの依頼人です。


② ヴァンダ・・・・ 准男爵の妻、夫に劣らず得体の知れない女性です。相続権はないが、さほど気にしているようには見えません。かつては美人だったようです。交霊術などにも凝っており、鳩山元総理夫人に通じるものがあります。


③ ルス・・・・ 准男爵夫妻は、子宝に恵まれませんでした。ルスは養女として迎えられた経緯があります。甥がルスと結婚した場合、十字軍以来の准男爵家を継ぐと・・・・。准男爵は、遺言状をそのように書き換える積りのようですが、イギリス民法は結婚を条件とする相続は認めていません。ルスは、はっきりとした意思を示せる女性です。癖はあるものの、魅力的な美人です。


④ ヒューゴ・・・・ 准男爵の甥であり、遺産相続人としては、ルスと共に最大の候補者です。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 ポワロは、全員を客間に集めます。ルス(③)は、来客のひとりであるレイク大尉と結婚していました。准男爵は、ルスを廃嫡しようとしていました・・・・。「一族の恥だ」 ポワロは、「犯人は、ルスあなただ」と指摘します。


 ですが、従業員のひとりであるミス・リンガードという女性が、自分が殺したと告白したのです。リンガードは、准男爵の伝記を書くために雇われていました。リンガードは、ポワロの推理したとおりに准男爵を射殺します。頭部を貫通した弾丸は、開いていたドアを直進し、銅鑼に当ります・・・・。


 ですが、自殺に見せるためには、遺体の周辺に弾丸が発見される必要があります。そのために、鏡を割ったと・・・・(ひどすぎる解決です)。ポワロは、最初からルスを疑っていませんでした。ミス・リンガードの自白を引き出すためでした。彼女は、ルスの実の母親だったのです。娘の幸せを守る、それが動機でした。


 ミス・リンガードは、重篤な病に冒されていました。裁判は行われることはないだろう、ポワロは予測します。


(追記) 短編につきましては、デアゴスティーニ社の「1話1巻」方式に不満を感じていますので、購入は差し控えています。場所を取るだけに、「2話1巻」方式で出してもらいたかったというのが本音です。


 なお、スーシェ主演でドラマ化された作品につきましては、短編についても、原作に基づき、以降順次取れ上げていくつもりです。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"名探偵ポワロ"と御入力ください。