第4119回「名探偵ポワロ全集、第23巻、エンドハウスの怪事件、その1、感想」 | 新稀少堂日記

第4119回「名探偵ポワロ全集、第23巻、エンドハウスの怪事件、その1、感想」

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 第4119回は、「名探偵ポワロ全集、第23巻、エンドハウスの怪事件、その1、感想」 です。コーンウォールにあるイングランド最西端の岬"ランズ・エンド"が舞台です。別荘として登場する"エンドハウス"は、最果ての地に位置する館という程度の意味かと思います。


 ドラマ化にあたって、舞台を代えた例は少なくありませんが、原作の雰囲気は損なっていません。ですが、不思議なことに、この作品に限っては、原作とドラマの印象が大きく異なっているのです。ただし、舞台となっているコーンウォールについては、設定は変えられていません。


 では、何故大きく印象が異なるのか考えてみますと、ドラマに登場する"マジェスティック・ホテル"にあると思います。当時から、コーンウォールはリゾート地でした。ドラマに描かれているホテルは、実におしゃれです。原作をモノクロと喩えるのでしたら、ドラマではカラーの世界です。豪華なホテルです・・・・。


 ディナー・タイムは、タイ・コード、ドレス・コードが設定されているのでしょうか、男女とも黒で統一されています。現在では、多くのリゾート・ホテルでその規定はありませんが、タイ・コードが規定されているホテルが少数ながらありました・・・・。


 この「エンドハウスの怪事件」では、レギュラーの3人がそろって出演しています。

1. ヘーステイングス大尉(ヒュー・フレイザー)・・・・ 「スタイルズ荘の怪事件」でイギリス・デビューを果たしたポワロと、終生友人であり続けたポワロの良き理解者です。ですが、イギリス人らしいユーモアで、ポワロに切り返すことも少なくありません。


2. ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン)・・・・ ポワロの実力を認め、捜査には全面的に協力しています。第22巻「ヒッコリー・ロードの殺人」では、ポワロと食事論争をしています。ラスト、ジャップ警部はポワロを自宅に招待し、食事を振舞います。


 「ポワロさんには、イギリス料理というものを理解してもらわないといけませんな。これがポテト、これが豆、煮豆ですな、そして、これがレバー団子」、ですが、折角出された食事をポワロは食べられません。「チーズをお願いできませんか、カマンベールとか」、出されたのは"ネズミ捕り用のチーズ"でした。ですが、ジャップ刑事は、ポワロの親友であることに間違いありません。


3. ミス・レモン(ポーリーン・モラン)・・・・ ポワロの秘書です。事務仕事が中心なのですが、時に、女性の視点から、ポワロの捜査に協力しています。著者クリスティ自身が、キャラクター設定に投影されているかもしれません・・・・。


 そんな3人が、めずらしくコーンウォールに揃うことになります・・・・。次回、ストーリーについて書く予定です。