第3881回「名探偵ポワロ全集、第18巻、第三の女、その2、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第3881回「名探偵ポワロ全集、第18巻、第三の女、その2、ストーリー、ネタバレ」

 第3881回は、「名探偵ポワロ全集、第18巻、第三の女、その2、ストーリー、ネタバレ」です。ドラマは、ポワロのマンションに、若い女性が駆け込んでくるところから始ります。ポワロは朝食をとろうとしたところでしたが、その女性に会うことにします。ですが、会った途端に、「じいさんじゃない、帰る!」と言って帰っていきます。


 その女性は、「私は人を殺したかもしれない。助けて」と執事に話していたのですが・・・・。ポワロは、大変傷つきます。ポワロが、愚痴をこぼした相手は、推理作家のアリアドネ・オリバーでした。「あんた、それで傷ついたの?」、明らかに傷ついています。


 実は、あの若い女性は、アリアドネのマンションに住んでいたのです。ノーマ・レスタリックというその女性が、エレベータの中で、同じことをアリアドネに告白していたのです。昨夜、アリアドネの1階上に住むルーム・シェアしている3人の女性が、パーティを開いていたのです。アリアドネもパーティに出席し、顔見知りになりました。


 昨夜、ノーマの乳母である老婦人が、リストカットして自殺しています。警察も自殺として処理しています・・・・。ここで、アリアドネは、"第三の女"とネーミングした理由と、第一、第二の女についても説明します。


第一の女(クローディア・リース=ホランド)・・・・ マンションの借主。"第三の女"ノーマの父親の会社に勤めています。父親とは愛人関係にあるようです。


第二の女(フランシス・ケアリー)・・・・ クローディアからルーム・シェアしてもらったルーム・メイト。女優です。ノーマの恋人である画家と、怪しい関係にあるようです。画のモデルもしています。ノーマには、日頃から気配りを怠りません。


第三の女(ノーマ・レスタリック)・・・・ ルーム・シェアしている三番目の女性。実は母親から莫大な遺産を受け取っています。結婚すると、自由に財産を処分できるようになります。金には淡白です。画家に魅かれているのですが・・・・。母親の死に、トラウマがあります。母親は自殺する前に、夫の一切の写真・肖像を処分しています・・・・。


 ポワロは、早い段階で、乳母の死は、他殺だと断定します。検視の結果も、警察から聞きだします。犯人が窒息死させた後、手首を切ったと・・・・。この事件では、アリアドネ・オリバーが積極的に動きます。殺された乳母の部屋で、鏡台の裏に隠された告発書を発見したのです。


 ですが、画家を疑っているアリアドネが、追跡中に奪われてしまいます。内容を読む前に・・・・。一方、ポワロはノーマの大伯父であるロデリック卿に会います。ロデリック卿は、失明しています。卿の傍らには、ソニアという女性秘書が侍(はべ)っていました。聡明なだけでなく、大変な美人です。ソニアの存在は、ノーマを遠ざける結果になります・・・・。


 ここで、容疑者を列挙します。ただし、ルーム・メートたちも容疑者であることは否定できませんが・・・・。

① アンドリュー・レスタリック・・・・ 20年前にノーマの母親を棄て、旅に出たノーマの実父です。ノーマの母親は、そのために自殺しています。ノーマと乳母は、母親が死ぬ瞬間を目撃しています。最近海外から戻ったアンドリューは、現在、"第一の女"クローディアと愛人関係にあるようです。


② ロデリック卿・・・・ ノーマの大伯父。失明しています。貴族とはいえ、実質的にはノーマの財産に依存しています。ノーマが結婚すると、収益の道が絶たれます・・・・。秘書のソニアを愛しているようです。ロデリック卿が愛しているソニアは、実にししたかな女性です。


③ デビッド・ベイカー・・・・ 秀麗な風貌の画家です。アリアドネは、彼を"孔雀"と評し、限りなくクロだと推理しています。ノーマを愛しているようにも思えるのですが、"第二の女"であるフランシスとも関係しているかも・・・・。


 仮に、ノーマが亡くなると、実父であるアンドリュー(①)に半分、ロデリック卿(②)に半分、相続されることになります。そんな背景もあり、乳母殺しの容疑で警察に追われているノーマを、ポワロは匿(かくま)うのですが・・・・。ですが、警察がポワロが訪れた時に、ノーマが自首したのです。


 乳母は、何故殺されることになったのか、その動機が事件の全貌を語るように思えます・・・・。そんな時に、ポワロは、アリアドネを誘い、ノーマの元家庭教師(女性)が経営している学校を訪れます。彼女には、空白の2年間がありました・・・・・。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 ポワロは、ノーマの実父であるアンドリュー(①)に注目します。アンドリューは20年前に海外に出奔しました。妻は亡くなっており、娘のノーマは幼少でした。妻は自殺する前に、夫の肖像・写真など一切の痕跡を消し去っています。夫憎しゆえの行動でした・・・・・。大伯父のロデリック卿(②)は、その後、失明しています。


 近親者で、アンドリューの顔を知るものはいなかったのです。ですが、ふたりだけいました。ひとりはノーマの元家庭教師です。彼女は、空白の2年間にアンドリューの子どもを産んでいたのです。もうひとりは、乳母です。彼女は、アンドリューがアンドリューでないことを知っていました。


 アンドリューは1年前に海外で亡くなっていました。彼の親友がなりすましたのです・・・・。アンドリューと元家庭教師の子どもは、ノーマたちとともに、ルーム・シェアしていました。"第二の女"であるフランシスです。すべては、アンドリューが計画し、フランシスを動かしていたのです。フランシスは、ノーマの異母妹です。ノーマがなくなれば、第三の相続人になります・・・・(という設定です)。


 ポワロは、元家庭教師からアンドリューの写真を手に入れ、ノーマに見せます・・・・。ロデリック卿の館(ノーマの所有ですが)で、パーティが開かれます。釈放されたノーマも出席し、偽アンドリューに、「お前は父親ではない」と言い放ちます・・・・・。一方、卿は、美人秘書のソニアを妻として、出席者に紹介します。


 おめでたい席だったのですが、ノーマの自殺体が、浴槽で発見されます・・・・。ポワロは、事件関係者全員を集めます。そして、フランシスと偽アンドリューを、犯人として告白します。フランシスの役割は、ルーム・メートとなったノーマを徹底的に追いつめることでした。一方で親切に、もう一方で、・・・・。乳母謀殺にも加担しています。ただ、アリアドネを昏倒させ、乳母の告発状を奪ったのは、偽アンドリューでした。


 美人秘書のソニアも、"孔雀"と評されたデビッド(③)も、事件には関与していませんでした。ノーマの自殺は、ポワロの指示による偽装自殺でした、亡くなっていません。


 夜の庭に、二組のカップルが寄り添っていました。一組は、もちろんロデリック卿と新妻のソニヤですが、もう一組は、ノーマと"孔雀"のデビッドでした。ポワロは、当初から、デビッドはノーマを見守り続けていたと確信していました・・・・。


(追記) デアゴスティーニ版「ポワロ コレクション」につきましては、順次ブログに書いていく予定です。過去のブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"ポワロ全集"と御入力ください。