第3880回「名探偵ポワロ全集、第18巻、第三の女、その1、感想、ルーム・シェア第三の女」 | 新稀少堂日記

第3880回「名探偵ポワロ全集、第18巻、第三の女、その1、感想、ルーム・シェア第三の女」

新稀少堂日記

 第3880回は、「名探偵ポワロ全集、第18巻、第三の女、その1、感想」です。クリスティ作品は、戯曲・短編を含めて、ほとんど読んでいるのですが、この作品につきましては、未読です・・・・。作品紹介から引用します。


 『 自分が犯したらしい殺人についてご相談したい。そう言ってポアロを訪ねてきた若い娘は、結局何も告げないまま立ち去ってしまった。その午後、事情通のオリヴァ夫人から事情を聞いたポアロは、俄然興味を示し、夫人とともに調査を始める。だが娘の周囲に殺人の匂いはなかった…死体なき殺人の謎をポアロが追う。 』


 ドラマ版では、早々に遺体が出現します。自殺として処理されるのですが、ポワロは早い段階で"他殺"と断定します・・・・。若い娘ノーラの病んだ心は、本当に殺人を犯したのか、という展開です。子どもの頃のトラウマも影響しています。母親が自殺し、その死に行く姿を目撃していたのです・・・・。


 ドラマ版での不自然さとしては、ヒロインは巨額の遺産の相続人なのですが、ルーム・シェアして、間借りしていることです。"第一の女"が部屋を借り、"第二の女"がルーム・シェアされた部屋を借り、さらに余裕があるため、"第三の女"がさらに借り受けるというものです。その"第三の女"が、本編のヒロインです。観る前には、もっと違った意味があるのかと思っていました。


 そんな"第三の女"の名付け親は、ポワロが数少ない頭の上がらない人物であるアリアドネ・オリバーです。ミステリ作家であり、ポワロの親友です。本作では、ポワロと協力して解決していきます。


 文庫本の表紙には、"孔雀"が描かれています。これも、アリアドネのネーミングです。若い画家が登場するのですが、ジゴロ風のハンサムな青年を評して"孔雀"と呼んだのです。多数の死体は発生しません、殺されたのはただひとりです。それも好感が持てます。後味のいい作品でもあります。


 126分と、このシリーズとしては長めの時間となっています。丹念に描きたかったのでしょうか。次回、ストーリーについて書く予定です。


(追記) デアゴスティーニ版「ポワロ」につきましては、随時ブログに書いています。興味がありましたら、お手数ですが、"ブログトップ左側"にあります"ブログ内"検索欄に、"ポワロ全集"と御入力ください。