第3709回「名探偵ポワロ全集、第14巻、ひらいたトランプ、その2、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第3709回「名探偵ポワロ全集、第14巻、ひらいたトランプ、その2、ストーリー、ネタバレ」

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 第3709回は、「名探偵ポワロ全集、第14巻、ひらいたトランプ、その2、ストーリー、ネタバレ」です。ドラマは、現代美術品の展示室から始ります。主催しているのは、大富豪のシェイタナです。ポワロと女流推理作家であるアリアドネ・オリバーも招待されています。


 アリアドネは、シェイタナをペテン師だと評します。そして、話をポワロに振ります。「このオブジェ分かる?」、沈黙するポワロにアリアドネが追い打ちをかけます。「理解できない、と言えばいいのよ」、ポワロに抗しうる唯一の女傑です。


 そんなポワロとアリアドネが、シェイタナの屋敷に招待されたのです。客は8人、食事の後、二組に分かれて、コントラクト・ブリッジを始めます。第一の組は、ポワロ、アリアドネ、ウィーラー警視、ヒューズ大佐の4人です。ヒューズ大佐は、諜報組織で働いているとの噂もある人物です。


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 第2組は、アン、ロリマー夫人、ロバーツ医師、デスパード少佐の4人です。とかくの噂のある4人です。第1組は「捜査陣」、第2組は「殺人者組」だと、ヒューズ大佐は評します・・・・。


① アン・メレディス・・・・ 若い美人です。以前の雇い主を毒殺したと噂されています。ただ、不幸な事故として片づけられましたが・・・・。


② ロリマー夫人・・・・ 初老の女性です。過去二度結婚していますが、相次いで夫を失っています。夫殺しの疑惑が常に付きまとっています。理由は分かりませんが、アン・メレディス(①)を意識しています。


③ ドクター・ロバーツ・・・・ とかく女性問題がつきまとっている医師です。患者との不倫では、相手の死を招いています。ただし、患者がエジプト旅行中であったため、容疑はかけられていませんが・・・・。


④ デスパード少佐・・・・ 冒険家です。アマゾン探検中、上司をなくしています。そのことについて、とかく噂があります。アン・メレディス(①)を意識しています。ある意味、悪党というより、正義感かもしれません。


 ホストのシェイタナは、ゲームに参加せず、第2組の部屋で、暖炉に向かってブランディを飲み続けます・・・・。第2組の4人からは、その姿は見えません。先にゲームを終えたのは、第1組です。ポワロたちは、ホストと第2組の4人に声をかけますが・・・・。


 シェイタナの異常に最初に気付いたのは、ウィーラー警視です。最初は眠っているのかと思ったのですが、心臓をナイフで一突きにされていたのです。第一発見者であるウィーラー警視は、そのため、容疑者のひとりに加えられます。眠っているシェイタナを一突きした後、殺されていると告げたと・・・・。


 ウィーラー警視に対する疑惑は残るものの、4人以外に犯人は考えられません・・・・。4人いずれにも、動機と機会がありました。ポワロは、4人に当時の部屋の状況と、ゲーム展開を詳細に聞いていきます。各人の心理を突き止めることで、犯行の可能性を立証しようとしたのです。さらに、4人の過去を次々と暴いていきます。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 ロリマー夫人は、ポワロにシェイタナ殺しを自白します。ですが、それはアン・メレディスをかばってのことです。アンは、ロリマー夫人と最初の夫との間にできた娘でした。そのアンがシェイタナを刺すのを目撃したと・・・・。アンは、母であるロリマー夫人が、自分の父親を突き落とすのを目撃しています。そのため、家を出たのですが・・・・。


 ですが、ポワロは明確にアンの犯行を否定します。そして、ロリマー夫人の犯行も否定します。ロリマー夫人が殺人を実行するのであれば、必ず計画的な犯行であったはずだと・・・・・。ロリマー夫人は、実に、正確にブリッジの展開と部屋の状況を記憶していました。


 そして、ポワロは、デスパード少佐の過去も暴きます。アマゾンで上司である教授を銃殺したのは、やはり少佐でした。ですが、飲酒により狂乱状態の教授が夫人に襲い掛かったために、やむなく銃殺したのです。教授の名誉のために、病死として現地に埋葬したというのが真相でした。


 アン・メレディスは、ルーム・メイトのローダ・ドーズに支配されていました。アンの脅えは、誤って雇い主を死に至らしめたことです。アンには盗癖があったのです。そんなアンを救ったのは、ローダでしたが、以降記憶を押し付け、アンを支配し続けます。そんなアンがデスパード少佐に興味を示し始めたのです。


 嫉妬に狂ったローダは、池にアンを突き落とします。アンは、少佐によって救出されます。遅れてやってきたポワロは、アンに過去の真実を話します。アンが誤って殺してしまったと考えていた雇い主は、実はローダが殺したと・・・・、以降、そのことによってアンを支配し続けたとも話します。


 ポワロは、事件関係者を集め、今回の事件にケリをつけることを宣言します。「ロリマー夫人、ノン」、「デスパード少佐、ノン」、次々と犯人であることを否定していきます。アン・メレディスでもなければ、ウィーラー警視でもない・・・・、最後に「ドクター・ロバーツ、あなただ」と指摘します。


 そして、シェイタナの性格を指摘します。「シェイタナに睡眠薬を盛った人はいない。シェイタナが、自らの意志で飲んだのです。殺人者が、殺人を実行できるように・・・・」、シェイタナは、心を病んでいたと付け加えます。自らを殺させることで、ポワロ自身に挑戦状を突きつけたとも・・・・。大富豪のシェイタナは、金銭目的ではなく、自らを殺させるために4人を脅迫していたのです。


 そして、ロバーツ医師の性癖・性向について語ります。今回の事件は、計画殺人ではなく、シェイタナが機会を与えた衝動殺人であったと話します。その条件に該当するのは、ロバーツ医師だけだとも告げます。そして、“女癖”について語ります。女性患者に手を出したのではなく、手を出したのは亭主の方でした。ゲイだったのです・・・・。


 「変態」とわめきちらす女性患者に、エジプト行きのための予防接種をしています。注射器に、感染性の細菌を・・・・、というのが真相でした。そして、シェイタナが撮影した証拠写真を、ポワロは出そうとします。ロバーツの抵抗も、そこまででした・・・・。


 帰ろうとするウィーラー警視に、ポワロは声を掛けます。さっき出そうとした写真は、ロバーツ医師に関するものではなく、あなたに関するものだった、と・・・・。ポワロは、ウィーラー警視に写真を渡します。警視には、女装趣味があったようです。


 アンとデスパード医師は結婚を約束します。二人に見送られ、ロリマー夫人は去っていきます(ただ単に去ったのか、警察に連行されたのか、映像からだけでは分かりません)。コントラクト・ブリッジのルールを知らなくても十分楽しめる作品に仕上がっています。


(追記) デアゴスティーニ版「ポワロ コレクション」につきましては、順次ブログに書いていく予定です。過去のブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"ポワロ全集"と御入力ください。