第3688回「名探偵ポワロ全集、第10巻、ホロー荘の殺人、その2、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第3688回「名探偵ポワロ全集、第10巻、ホロー荘の殺人、その2、ストーリー、ネタバレ」

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 第3688回は、「名探偵ポワロ全集、第10巻、ホロー荘の殺人、その2、ストーリー、ネタバレ」です。


 ドラマは、ひとりの男が、ある建物に入っていくところから始ります。部屋の中には、多数の彫刻が並べられていました。ブロンズ像の原型を作っているのでしょうか・・・・。彫刻家は、ブロンド美人です。


 男はジョン・クリストウ、ハンサムであるだけでなく、優秀かつ熱意ある医師です。難病治療にも献身しています・・・・。女は、ヘンリエッタ・サバナク、美人であるだけでなく、理知的かつ活動的な女性です。芸術家である以上に、自動車にもハマっている冒険家です。


 場面は変り、ポワロは郊外の田園地帯に向かっています。激しいスピードで追い抜いていくスポーツタイプの自動車がいました。ヘンリエッタの運転するスポーツ・カーです・・・・。ジョン・クリストウの自動車も走っています。運転するのは、妻のガーダ・クリストウです。ガーダは気立てはいいのですが、グズだと周囲から見られています。彼女の運転は、周囲に迷惑をかけ続けます・・・・。


 ポワロは、最近買った別荘にやってきたのです。隣には、アメリカのムービー・スターが住んでいます・・・・。別荘の中に入ると、招待状が届いていました。このエリアの有力者であるアンカテル一族の晩餐に招待されたのです・・・・。


 ディナーは順調に進みますが、食後のコーヒーが出た段階で、椿事が発生します。断りなく、隣人の女優ベロニカ・クレイが闖入(ちんにゅう)してきたのです。喫煙のため、マッチを譲ってほしいというのですが、明らかにウソです。目的は、ジョン・クリストウでした。12年前に、婚約した仲だったのです。


 ジョンは、ベロニカを送っていきます。そんなジョンを、当主のヘンリー・アンカテル卿は、「優秀"すぎる"男だ」と評します。もちろん皮肉です。今日の晩餐には、一族の者全員が出席していました。ヘンリー卿の妻、ルーシーは、射撃の名手であり、はっきりした性格の持ち主です。


 ジョンの妻ガーダも一族につながっています。ミッジ(女性)は、又従兄弟のエドワードに好意を抱いているのですが、当のエドワードの関心は、彫刻家ヘンリエッタに向っています・・・・。ですが、アンカテル一族の者は、ジョンとヘンリエッタが愛人関係にあることを知り尽くしています。


 そんなジョンが、別荘に戻ってきたのは、午前3時です。妻のガーダにも、愛人のヘンリエッタにも、女優のベロニカとジョンの間に何があったかは、分かっています・・・・。そんなジョンが、翌朝、再度ベロニカの別荘に行ったのです。映像は、ジョンが毅然とベロニカとの仲の終わりを告げるのをとらえているのですが・・・・。


 銃撃されたジョンが発見されたのは、プールサイドでした。ポワロが駆けつけた時には、死体をはさんで、ルーシー、ガーダ、ヘンリエッタの3人が立っていました。ジョンは虫の息で、「ヘンリエッタ・・・・」とつぶやき、息絶えます・・・・。ジョンのそばに立っていたのは、妻のガーダでした。手には、拳銃を握っていました。


 95分ほどのドラマなのですが、ここまでに40分を費やしています。キャラクターを丹念に描いた結果です。当然、第一容疑者は、ガーダです。ですが線条痕を鑑定すると、ガーダの握っていた拳銃とは一致しません。ポワロの捜査を阻害したのは、アンカテル一族の摩訶不思議な行動です。疑わしい行動が実に多いのです。


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 一族ではありませんが、何故か、ヘンリエッタは積極的にガーダをかばいます。ガーダが握っていた拳銃は、拾ったものだと、一族に説明しています。ヘンリー卿の妻であるルーシーは、鶏舎に行くためだけに、拳銃を持参していましたが、理由は説明しようとしません。執事のガジョンは、別荘に拳銃を持ち帰っているのを目撃されています。


 ヘンリー卿は、ガン・マニアです。大変なコレクションの持ち主ですが、消えた銃器は2挺のみです。ガーダが握っていた拳銃と、未だに見つからない皮のホルスターに入った拳銃だけです・・・・。後者の拳銃を見つけたのは、ポワロです。ヘンリエッタの塑像の中に隠されていました。その拳銃こそ、凶器でしたが、ホルスターは発見されていません・・・・。


 ジョン殺しの動機を持つ愛人は、妻のガーダ、彫刻家のヘンリエッタ、女優のベロニカの3人です。ヘンリエッタを愛するエドワードにも動機があります、ジョンさえいなければ・・・・。そして、一族の不可思議な疑惑を招く行為・・・・。以下、最後まで書きますので、ネタバレになります。


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 ポワロは、ガーダの家に向かいます。ガーダには、二人の子どもがいました。そんなガーダに、ポワロは真相を告げます。拳銃は、ふたつ用意されており、ジョンを撃った拳銃は草むらに投げ捨て、もうひとつの拳銃を握っていたと・・・・。当然、線条痕は一致しません。ガーダは、最初から、そのことを計算していたのです。


 ガーダが、夫であるジョンの女癖の悪いことを知らないわけがありません。ガーダが犯行を決意したのは、あの夜、ジョンとベロニカの後を尾けたことからです。ガーダは、あからさまな行為を目撃しました・・・・。そして、ヘンリー卿のコレクションから、2丁の拳銃を取り出します・・・・。


 ポワロが、決定的な証拠として提示したのは、ガーダが処分していなかった皮製のホルスターでした。ヘンリエッタがガーダをかばおうとしたのは、ジョンの最後の言葉でした。「ヘンリエッタ、(ガーダを頼む)」 一族も、ガーダの仕業だというのは分かっていました。ルーシーたちの不可思議な行為も、捜査を撹乱するためでした。


 ガーダは、一時、ポワロの元から去ります。そして、青酸カリを飲み干します、ふたりの子を残して・・・・。


(追記) デアゴスティーニ版「ポワロ コレクション」につきましては、順次ブログに書いていく予定です。過去のブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"ポワロ全集"と御入力ください。