第3616回「名探偵ポワロ全集、第1巻、ナイルに死す、その3、ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第3616回「名探偵ポワロ全集、第1巻、ナイルに死す、その3、ストーリー、ネタバレ」

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 第3616回は、「名探偵ポワロ全集、第1巻、ナイルに死す、その3、ストーリー、ネタバレ」です。ドラマ版をベースに、ストーリーを紹介します。シンプルな構成になっていますが、ツボは外していません。


 ドラマは、ベッドシーンから始ります。ジャクリーン(エマ・マリン)とサイモン・ドイル(J.J.フィールド)が、熱烈に愛し合っています。しかし、サイモンは、失業したことを告白します。時代は、大恐慌の時代です。サイモンも、リストラされたのです・・・・。


 場面は変わります。郊外の屋敷が映し出されます。若き美貌の相続人リネット(エミリー・ブラント)の屋敷です。そこに、友人のジャクリーンが訪ねてきます。婚約者サイモンの就職を頼みに来たのです。「屋敷の管理に使って・・・、私は彼なしでは生きていけないの、とっても有能よ。結婚したら、ハネムーンはエジプトへ行くつもり・・・」、リネットの表情が変わります。


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 場面は、さらに変わります。3ヵ月後、舞台はエジプトです。新婚旅行していたのは、サイモンとリネットでした。リネットは資産家であるだけでなく、大変な美貌の持ち主です。何不自由ない彼女が、友人の恋人さえ奪ったのです・・・・。


 「サイモンなしでは、生きていけない」、そんなジャクリーンが、執拗にリネットとサイモンの行く先々に現われます。もちろん、嫌がらせです。サイモンたちは、アスワンの"オールドカタラクトホテル"に宿泊しています。夜のカタラクトホテル(写真は、旅行会社"ナイルストーリー"から引用)で、主要登場人物が出揃います。この場でも、ジャクリーヌは、露骨な嫌がらせを繰り返します・・・・。


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 翌日たまりかねたサイモンは、ナイルクルーズ船に予約を入れます。ここで、ジャクリーンをまこうという計画です。ですが、ジャクリーンも、ポアロも乗り合わせていたのです。"名探偵の掟"が働きます。ですが、ポワロ(デビッド・スーシェ)は、ジャクリーヌに下船するようにアドバイスします。「あなたには未来がある。身を誤りますな」


 アスワンを出発したクルーズ船は、ルクソールに着きます。一行は、カルナック神殿、ルクソール神殿、王家の谷と観光していきます。ドラマは、このシーンを通じてキャラクター(容疑者候補)を、より深く紹介していきます・・・・。1枚目の写真に主要登場人物が列挙されています(クリックすると見やすくなります)。


 船は北上し、デンデラ神殿に着きます。ポワロが怖れていたように、事件が起きます。サイモンとリネットの頭上に、石材が落ちてきたのです。幸い、サイモンたちは無事でした。その時、ジャクリーンは、別の場所にいました。では・・・・。一行の共通点は、リネットを激しく憎んでいることです。ですが、単なる事故だったのでしょうか。


 事件は、夜の娯楽室で起きました。リネットたちがブリッジをしている時に、泥酔したジャクリーンが入ってきたのです。ジャクリーンが、サイモンにからみ始めます。不愉快な雰囲気に、客たちが次々と部屋に帰っていきますが、ジャクリーンはコーネリアを話し相手として帰させません・・・・。


 3人だけになったとき、ついにジャクリーンは、小型拳銃を抜きます・・・・。サイモン目がけて発射します、サイモンの脚が赤く染まります・・・・。物音に気付いたファーガソンが戻ってきます。ファーガソンは、世をすねたアナーキストです。ヒステリー状態になったジャクリーンを、コーネリアと共に、部屋に連れて行きます。コーネリアが看護することになります。


 一方、ファーガソンは、乗客の一人である医師ベスナーを起こし、娯楽室に戻ります。サイモンのケガは、重傷でした。ですが、サイモンは事件化を望んでいません。事件の夜は、こうして終わります・・・・。


 ですが、翌日、リネットの射殺死体が発見されたのです。ベッドの枕元には、被害者の血で"J"と記されていました。ジャクリーンを示すダイイング・メッセージでしょうか。ポワロの活躍が始ります。ポワロの捜査をオーソライズしたのは、レイズ大佐でした。ある種の捜査権をポワロに与えたのです。


 乗客の事情聴取が始ります。そんな中、リネットのメイドが殺されたのです。犯行を目撃したメイドは、犯人を脅迫していたようです・・・・。さらに、メイド殺しに関する重要情報を話そうとした小説家のサロメ・オタボーンも、ポワロと大佐の目の前で、物陰から射殺されます・・・・。連続殺人にともない、数々の謎が提起されます。


1. リネットの真珠が、偽物とすり替えられていました。屋敷ひとつが買えるほどの逸品です。連続殺人と関係しているのでしょうか。

2. ジャクリーンがサイモンを撃った拳銃は、川底から発見されています。2発発射されていました。1発はジャクリーンがサイモンを撃っていました。もう1発は、リネットに向けて・・・・。拳銃は、コーネリアの伯母のスカーフに包まれていました。事件の前に紛失しています・・・・。

3. 事件の前触れとなったデンデラ神殿での落石は、誰が引き起こしたのでしょうか。


 第2、第3の殺人は、すべてリネット殺しに端を発しています。リネット殺しの動機を持つ者は・・・・、乗客全員です。冒頭の写真では、6人の容疑者が列挙されていますが、サロメは殺されています。やはり疑わしいのは、ジャクリーンとサイモンです。ですが、ふたりには、鉄壁のアリバイがあったのです。


 ジャクリーンは、事件のあった夜、コーネリアに付き添われていました。コーネリアとジャクリーンの共犯は、ナンセンスです。一方のサイモンは、ジャクリーンに脚を銃撃されています。ひどい傷であることは、ベスナー医師が確認しています。一方で、リネットの資産を管理していたペニントンの銃は、サロメ殺しに使われています・・・・。ペニントンは、リネットの資産を横領していました。


 以下、最後まで書きますので、ネタバレとなります。


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 ポワロは、サイモンの客室で、大佐とベスナー医師の立会いの元、事件を解き明かします。サイモンは、ベッドに寝たまま聞きます。ジャクリーンの撃った弾丸は、サイモンに当っていませんでした。脚を抑えた際、赤いマニキュアで血のように見せかけたのです。ジャクリーンは、コーネリアとファーガスンに抱えられ、自室に向かいます・・・・。


 ひとりになったサイモンは、リネットの部屋に走ります・・・・(サイモンとリネットは2部屋とっていました)。そして、リネットを銃殺した後、彼女の血で、"J"と書き残します・・・・・(余計なことです)。その後、急いで娯楽室に戻ります。そして、自分の足を撃ちます・・・・。リネットの銃は3発撃ったことになるのですが、事前に1発補充していました。


 窓をあけ廊下越しに、スカーフに拳銃をいれ、川に投げ込みます・・・・・。リネットが撃った弾丸も回収しています。スカーフは、事前に入手していたのです。当初から計画していました・・・・。サイモンは、あっさり自白します。ポワロは、ジャクリーンを訊問します。サイモンが自白している以上、抗弁するのも無意味です。ジャクリーンにとっては、サイモンが全てなのですから・・・・。「サイモンがいなければ、生きていけない」


 クルーズ船は、カイロに着きます。ポワロは、客たちを見送ります。リネットの真珠を盗ったのは、ティム・アラートン(マザコンの青年)でした(1の解決)。ポワロは、ペニントンの横領も、アラートンの窃盗も、事件化する気はありません。ペニントンは、デンデラ神殿で石を落とした犯人でもあったのですが・・・・(3の解決)。


 最後に、担架に乗せられ、サイモンが運ばれます。ジャクリーンの両脇には、警官が付き添っていました。ジャクリーンの視線が、ポワロに向けられます。「これが最後になると思いますから、サイモンにキスしていいかしら?」、ポワロはうなづきます。


 ジャクリーンは、サイモンにかがみこみ、キスをします。そして、隠していた拳銃でサイモンの心臓を撃ち抜きます。さらに、自らの心臓も・・・・。大佐が、ポワロを責めます。「知っていたな」、ポワロは数日前にジャクリーンと話したことを思い出します。そして、自分が言った言葉も・・・・。「愛、私の人生になかったものだ」


 画面は、冒頭に戻ります。ジャクリーンとサイモンが愛した小さな部屋です。ふたりは、踊っています・・・・。


(補足) 映画版では、ポワロは全員を娯楽室に集め,推理を聞かせています。ドラマ版だけでなく、映画版をあわせて御覧になることをオススメします。エジプトの見どころが一杯です。ミア・ファーローが、素敵なジャクリーンを演じていました。


(追記) 感想につきましては"その1"に、エジプト旅行につきましては"その2"に書いています。興味がありましたら、アクセスしてください。

「その1」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10946127367.html

「その2」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10946423921.html