第3483回「ルパン 劇場版、その1、感想、ルパンとは一体なに?」(2004年) | 新稀少堂日記

第3483回「ルパン 劇場版、その1、感想、ルパンとは一体なに?」(2004年)

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 第3483回は、「ルパン 劇場版、その1、感想、ルパンとは一体なに?」です。シャーロック・ホームズと異なり、ルパンの全体像はつかみかねるというのが実感です。


 初めて読みましたのは、小学生の頃、ポプラ社のジュブナイル版全集でした。その後、新潮文庫の10冊版とか、創元推理文庫版とかを読みましたが、完全な全集にはなっていないようです。


 さらに、ルパン・シリーズの特徴ですが、"ルパン"という固有名詞が本文中に一切出てこない作品も多数含まれています。ルパンの変名なのですが、変名は多岐にわたります。


 2004年に製作された本作品は、初期の長編を総合化された形で映像化されました。そのため、ストーリーが複雑に交錯しています。


 ルパン・シリーズは、本格推理小説を前面に出したもの、冒険小説としての色彩が強いもの、恋愛を中心に描いたもの、それぞれの長編が、シリーズ全体の流れとは離れ、自己主張しているように思えます。冒険小説には、伝奇小説の色彩も色濃く反映されています。フランス史の闇が、現代(あくまでルパンの生きていた現代ですが)に蘇る構成を取っています。


 今考えてみましたら、ポプラ社が子ども向けの全集にしたことに感心します。再読しますと、決して子ども向きではなかったことに、今さら気付かされます。


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 当然、映像化作品は、子ども向きになっていません。ルパンの活躍も、ルパン三世のように、スッキリしたものではありません。ですが、実に華麗な映像ですし、19世紀末のパリは実に魅力的です。そして、"マリ・アントワネットの首飾り"も、"カリオストロの秘宝"も、"奇岩城"も登場します・・・・。


 ですが、不満としては、主役のルパンを演じたロマン・デュリスです。ただ、誰が演じても不満が残ったかもしれませんが・・・・。全体としての感想としては、よく練られたシナリオですし、何よりも華麗な演出になっています。現在の日本では、実際に見ることのできない宝飾品、特に首飾りが多数登場します。カルティエが貸し出したそうですが、絢爛豪華です。カルティエ・コレクションとも呼ぶべきようなものがあるのでしょうか。


 次回、錯綜したストーリーについて書く予定です。


(補足) 1枚目のルパンの肖像はウキペディアから、2枚目の写真はgoo映画から引用しました。