第2163回「探偵ガリレオ (第二章) 転写る(うつる)、ネタバレ」(理科系ミステリ) | 新稀少堂日記

第2163回「探偵ガリレオ (第二章) 転写る(うつる)、ネタバレ」(理科系ミステリ)

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 第2163回は、「探偵ガリレオ (第二章) 転写る(うつる)」(理科系ミステリ)です。「探偵ガリレオ」シリーズにつきましては、映像化作品として、断片的にブログに書いてきました。原作は、現在のところ、長編2冊と短編集3冊が発表されています。


 著者は東野圭吾さんです。浅田次郎氏と並んで、最も映像化されている作家ではないでしょうか。「ガリレオ」は、福山雅治さんと柴咲コウさんの主演で、テレビドラマ化されました。これまで断片的にしか、ブログに書いていません。


 今後、既に書いたものを除き、補完的にブログに書いていく予定です。ただし、ドラマ化された作品については、俳優の名前を書いていこうと思っています。「転写る」は、第一短編集の第二短編ですが、放送回数の制約のためか、ドラマ化されていません。


 事件は、中学生2人が、ひょうたん池に釣りに行くところから始まります。廃棄物だらけの汚い池です。ですが、そこで不思議なものが、水面に浮かんでいるのを見付けたのです・・・・。


 何日か後、草薙刑事は、中学生である姪のダンス発表会に行きます。その帰り、中学の一画で不思議なものが展示されていたのです。リアルなデスマスクです。その顔の持ち主は実在し、行方不明になっています。中学生2人組から事情を聞いた草薙刑事は、ひょうたん池を捜索します。死体が発見されます。


 ですが、最大の容疑者には、確固たるアリバイがあります。8月18日の朝まで、妻が生存を確認していたのです。その日から、容疑者は二週間ほど中国旅行をしています。出発までに、殺人を実行し、死体を遺棄することは不可能です。


 謎は、それだけではありません。中学生が発見したのは、デスマスクの金型でした。アルミ製です。薄っぺらいものではありません。精巧に死者の表情が写されていました。周辺には、電気コードが捨てられていました。


 ガリレオ(湯川学)は、草薙に聞きます。「周辺で、ライフルが撃たれていないか」 草薙刑事はあ然とします・・・・。ガリレオは、さらに、雷のあった日を調べるように依頼します。以後、最後まで書きますので、ネタバレとなります。


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 事件は、簡単に解決します。ガリレオは、アリバイが確固としたものなら、犯行は、8月17日以前に行なわれたはずだと主張します。被害者の妻の自白から、事件は一挙に解決に向かいます。重要容疑者と被害者の妻が共犯だったのです。8月18日が、被害者を見た最後の日だとの証言は、妻の嘘だったのです。


 ガリレオは、草薙刑事を研究施設に呼びます。水槽と高圧コンデンサーが用意されています。水槽の中には、ひょうたん池にもあったアルミ片とマネキンが入れられています。コードが水槽に入れられ、落雷が再現されます。マネキンの顔には、アルミが金型状に張り付いています・・・・。


 ガリレオは、衝撃波だと断定します。拳銃では金属に影響を与える衝撃波は生まれないが、ライフルであれば可能だとも付け加えます。歯の金冠を例として、産業界で衝撃波が実用化されている事例を、ガリレオは説明します。そして、文献を草薙に提示します。そこには、被害者が共同研究者のひとりとして記載されていました・・・・。


 草薙は聞きます。「科学者はオカルトなんか信じないんじゃないのか」

 ガリレオは答えます。「科学者だって、冗談をいう時はあるんだよ」


 ドラマ化されていれば、草薙刑事の役を、内海薫刑事(柴咲コウさん)が勤めていたと思います。アルミの比重は、2.7です。水中で成型されたデスマスクが水面に浮くためには、かなりの空気が入っている必要があります。それこそ奇跡(オカルト)かもしれません。


(追記) ドラマ・映画版「ガリレオ」で、既にブログに書いたものは、次のとおりです。

「第1回 燃える」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10444908592.html

「第8回 霊視る」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10454708897.html

「ガリレオ0(ゼロ)」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10421932712.html

「容疑者Xの献身」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10422419340.html