第1190回「江戸忍法帖」(時代小説) | 新稀少堂日記

第1190回「江戸忍法帖」(時代小説)

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 第1190回は、「江戸忍法帖」(時代小説)です。山田風太郎氏の忍法帳シリーズは、高校から大学にかけて読みました。一冊読めば、似たような内容なのですが、はまって読み続けました。このシリーズは、現在講談社文庫で刊行されているのですが、一時新書で出版されていました。カバーの装丁を横尾忠則氏が担当され、みごとなコラボレーションとなっています。


 忍者の描き方は、超常現象を駆使するわざが多く、リアリティはありませんが、エンターテインメントに徹底していました。一方、村山知義氏の「忍びの者」シリーズとか、現在上映されている「カムイ外伝」などは、破天荒な技の中にも、リアリティがありました。


 本書の時代設定は、綱吉が五代将軍になったばかりの頃です。四代将軍・家綱には結局世継は生まれませんでした。ところが、ご落胤がいたのです。名前は葵悠太郎、姓が葵(あおい)と実にわざとらしい名前です。御側用人の柳沢出羽守としても、黙過できません。生かしておけば、平時に乱を起すようなものです。


 出羽守は、お庭番を呼びつけます。必ず葵悠太郎を抹殺すべしと。その任に当たるのは、7人の甲賀衆です。山田氏の忍法帖では、必ずといっていいほど複数の忍者が登場します。摩訶不思議な技を駆使します。一方、命を付け狙われる悠太郎も、攻勢に出ます。柳沢吉保の娘・鮎姫を拉致したのです・・・・・。もちろん、人質です。


 はたして、この結末は・・・・・。という展開です。シリーズ化されていますので、何冊か読めば十分かと思います。ですが、横尾忠則氏デザインのカバーは、見事なアートになっています。