第653回「粋な時間にしひがし 木村尚三郎著」(比較文化論) | 新稀少堂日記

第653回「粋な時間にしひがし 木村尚三郎著」(比較文化論)

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 第653回は、「粋な時間にしひがし 木村尚三郎著」(比較文化論)です。木村氏本人によるあとがきに、この本のテーマが現われています。引用します。


 「ヨーロッパ史を潜行する私の場合、旅する咲はたまたまヨーロッパであるが、アジア諸地域であれ・・・・アメリカ各地であれ、その土地と文化社会を全身の五感で感じ取ってこそ、はじめての日本の生き方の独自性も普遍性も、確かなものとして浮かび上がってくる。そして相手国と自国とを、ともに自分の言葉で語ることができる。」


 私自身は、必ずしも、この意見に同意しません。しかし、実際外国に行くことの効用を否定するものではありません。ただ、頭の中で何度も旅する経験はあります。その効用も、実際海外旅行することに、決して劣りません。一方、時間とお金に余裕がありましたら、是非とも興味のある地域に旅行すべきです。


 この本は、四部構成です。「粋な時間 IN FRANCE」、「粋な時間 IN TOKYO」、「住まいにしひがし」、「粋な関係」、フランスも日本も粋な国だといことでしょうか。各章は、短いエッセイで構成されています。楽しく読めます。


 ゆったり流れる「粋な時間」、にしひがしは洋の東西という意味でしょうか。木村氏は、愛知万博で総合プロデューサーを勤められました。そして、NHKのアニメ「名探偵ポワロとマーブル」の考証を担当したそうです。各回の終わりに、イギリス文化の紹介がありました。ただ、アニメとしては失敗作かと思います。