第62回「四国八十八ヶ所 十九番札所 立江寺(たつえじ)」 | 新稀少堂日記

第62回「四国八十八ヶ所 十九番札所 立江寺(たつえじ)」



 第62回は、「四国八十八ヶ所 十九番札所 立江寺(たつえじ)」です。「正」は、「ただしい」とも、「せい」とも、「しょう」とも読ませます。訓読みは日本語としての読みですが、音読みは中国語の発音を模したものです。古来から中国では、数々の方言がありました。同じ漢字でも、地方により発音が異なりました。


 故司馬遼太郎氏は、「街道をゆく」の中で、漢字の音の煩雑さについて、しばしば書かれています。奈良期に、音の一本化が検討されたようです。いわゆる漢音と呉音です。呉音とは、僧侶が主に仏教用語に使用したものですが、一般にも広く使われていました。漢音に統一しようとしたのですが、僧侶の猛反対で、改革案はつぶされたとのことです。


 こうして、現在まで、漢字の読みを難解にした事情は続いています。いまさら正月を「せいげつ」とも、正直を「せいちょく」とも読めません・・・・。 立江寺は、「りっこうじ」ではなく、「たつえじ」と読ませます。珍しい寺院です。


 境内は、落ち着いた佇(たたず)まいです。写真は、境内から山門を写したものです。見づらいかもしれませんが、犬がいます。非常におとなしい、可愛い犬です。境内に20分ほどいたのですが、最初にいた位置を動いていません。寺に居ついているのでしょうか、それとも、参拝客が飼い主でしょうか。かわいい犬です。


 犬に別れを告げ、二十番札所鶴山寺に向かいます。14kmありますが、3km手前の旅館に泊まります。残り3kmは、登りの山道です。更に二十一番札所への遍路道も山道です。4時半頃、旅館に入り休養につとめました。私を含めて客は4人ですが、全員歩き遍路です。