第58回「三人乗り自転車と、アレルギー疾患と、孟母三遷」 | 新稀少堂日記

第58回「三人乗り自転車と、アレルギー疾患と、孟母三遷」

 第58回は、「三人乗り自転車と、アレルギー疾患と、孟母三遷」です。孟子の一家は、墓の近くに住んでいました。幼い孟子は、葬式ごっこをして遊びます。孟子の母は、これは良くないと考え、市場の近くに越します。今度は、市場に近いところです。「安いよ、安いよ」、商売人ごっこです。再度、孟子の母は引っ越します。学校の近くです。孟子は、勉強を始めます。


 三人乗り自転車の禁止について、「子を持つ母親」は猛反対しました。賢い母親は、子どもの成長に合わせ、三遷すべきです。子どもが幼児の段階は、幼稚園とスーパーに、共に近いところに住めば良い話です。


 首都圏での私立学校へのシフトが始まって随分経ちます。しかし、地方都市では、優良な私立学校の無いところが多いかと思います。学校区により、小中学校は決まってしまいます。賢い母親は、就学に合わせ、住まいを変えます。


 そして、子どものアレルギー疾患の原因は、はっきりしています。小児ぜん息・アトピーにつきましては、ダニが原因だと言うことは、定説になっています。そして、花粉症につきましても、・・・・。孟母不在の時代かもしれません。しかし、孟母のしたことは、凄いことなのでしょうか。故事としては、実に平凡極まりないことです。


 では、父親は三遷しなくても良いのでしょうか。人間誰しも老います。揮発油税(ガソリン税)の暫定税率問題で、「地方には道路が必要だ」との主張が多く語られました。地方では、高齢化率が高いのです。そういう人たちに、いつまでも運転させているのです。当然老人が、幼児をひき殺す事態も増えています。


 私自身、視野につきましては、かなり狭くなっています。チェックは簡単に出来ます。老人ドライバーの良識につきましては、自己チェックの方法を知っているか聞いてみれば、すぐに分ります。


 孟父も、三遷すべきなのです。難しいことではありません。やがて来る老いを見つめれば、「終の棲家(ついのすみか)」を早い段階(50歳くらいまでに)で、考えるべきです。地方でも必ずしも自動車を必要としない環境が少なくありません。そして、動体視力の低下、視野の狭窄は、老人の必然です。


 そして、段差の多い戸建ては、若い人向きです。バリア・フリーを考えれば、必然的にマンションとなります。少しでも、周囲の人々を見ましたら、自分の10年後・20年後は分ります。実に醜悪ですが、自分だけ免れるという訳にはいきません。


 周囲の老人たちが、どういう環境で住んでいるかを見れば、その老人の来し方・行く末だけでなく、資質とか、考えの深さが見えてきます。