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super fantastic!!!!!!!

さとうかいのブログ。
SUGOI!

原題:Rise of the Planet of the Apes
2011年 アメリカ
監督:ルパート・ワイアット
脚本:アマンダ・シルヴァー、リック・ジャッファ
出演:ジェームズ・フランコ、アンディ・サーキス、フリーダ・ピントーなど
見た日:2012年11月20日
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前のティム・バートン版がもう、
今や「無かった事」になってるくらいコケたから
(これももう10年前や)
今回もどうかなぁ、なんて思ってたけど、
いや、かなりしっかりと「猿の惑星」だったんでよかった。
「俺はいま猿の惑星を見てる!」っていう気が、ちゃんとするんだよ。

本作は、地球が猿に征服される発端を描いてる作品で、
これまでの
「猿の惑星」で見た事ある、
二足歩行の進化した猿たちは登場せず、
見た目そのまんま猿のやつしか出て来ないにも関わらず
ちゃんと
「猿の惑星」してる。

これはたぶん、オリジナルシリーズの5作が、
作られた時代それぞれの社会問題とかの暗喩になっていたのを踏襲して
現在の問題を反映させつつ、さらにもう一歩踏み込んで、
オリジナル5作に通低していたテーマを、
オリジナル5作には無いくらいビビッドに描き出せているからだと。

ここで過去5作が何を描いているかをおさらい。
「猿の惑星」(1968年)は猿が統治する惑星で、
家畜みたいになってる人間が反乱を起こす的な話。
原作自体は、この猿ってのは日本人の事だみたいな説もありますが、
この映画では、黒人解放運動、ブラックパワーを反映してると思います。
黒人たちがガンガン盛り上がってきて、力を持ち始めて、
「立場が逆転してしまうんじゃないか?」
というところの恐怖やね。
じっさい当時、丸腰の黒人青年に警官が高圧ホースで水をかけたり、
もっとひどい暴力が行われたりしてた様で、
映画の中でもチャールトン・ヘストンが猿に水攻めにされてます。
ちなみに「創世記」でもこの水攻めのシーンは引用されてて、
主役の猿シーザーが人間に水をかけられます。
そういう過去作からの引用も「創世記」の魅力やね。

「続・猿の惑星」(1970年)は、前作「猿の惑星」直後の話。
猿vs人間がこじれていって、最終的にコバルト爆弾によって
地球が爆発してしまうという話。
これは冷戦で米ソ間の緊張が高まってきて、もう核戦争や、
みたいになってた時代です。
これも実際、その頃は、ほんとうに核戦争をやって、
いったん滅びることで神様の望む世界に近づくんじゃないか
って本気で考えてた人もいたらしい。
それくらい核戦争の恐怖が現実的にあった頃の映画。

「新・猿の惑星」(1971年)は「続」のラスト、
地球が爆発する寸前に、宇宙船で脱出した猿が、
その地球の爆発の衝撃でタイムスリップ。
1973年の地球に現れるという話。
これはぼく分からなかったんだけど、
作中「猿に性差別は無い」みたいなセリフから、
その頃盛り上がってたウーマンリブとかの運動の暗喩だという
そんな評論がいくつかありました。
そうなんだと思います。

「猿の惑星・征服」(1972年)は「新」で当時の現代(変な言葉や)に現れた猿が子を産み、
その子(シーザーという名前)が反乱を起こすという話。
ここで再び第一作の黒人問題に戻るわけやね。
運動じたいは第一作の頃よりも大きくなってるので、
より如実に影響してるとおもひます。
マルコムXとかキング牧師とかのやつ。

で、ここまでの4作で歴史はぐるぐる巡回してるわけですが
(順番に書くと「新」→「征服」→
「猿の惑星」→「続」→「新」にもどる
「最後の猿の惑星」(1973年)で
そのループから抜け出して完結というよくできたシリーズ構成。
「最後」は、「征服」以降権力を持った猿達であったが、
「猿の惑星」につながるような、地球を征服するような事は無く、
一応人間と共存してる世界の話。
ここで描かれているのは、猿vs人間という単純な図式ではなく、
猿も人間もひっくるめた、思想と思想の対決です。

こうやって時代時代の空気とか問題とかを
見事に反映してるのが
「猿の惑星」シリーズの魅力だと思うんすよ。
特に、第一作のラストとかは、
そりゃあ公開当時とか初見の人にとっては衝撃だったかも知れないけど、
その衝撃以降のSFを見て育った世代にとっては
もう、どんでん返しの典型みたいなもんで、
あのラストに驚けなかった世代、驚かなかった世代の今でも
ファンがいるっていうのは、
やっぱり別の所に面白さがあるんだと思うんですけどねぇ。

ちなみに2001年のティム・バートン版は、
そういう、その時代の何かを、何も反映していなかったという。
ははは。


で、「創世記」ですが。
舞台はサンフランシスコ。
サンフランシスコは今、バイオとかITとかが盛り上がってる街だそうで、
この映画に出て来るような、金儲けのためだけにバイオ企業やってる人とか、
ほんとうに実在するんだって。
あと、これも映画に出て来る動物実験ていうのも、
「人体実験が問題あるからって、動物ならいいの?」っていう問題。
じっさい上記みたいな企業が爆破されるなんていう事件も起こってるそうです。

それで、ぼくが面白いと思うのは、
オリジナルへの愛とオマージュを持ってつくられたこの新作が、
どの過去作よりも克明に、より直接的に、
いま現実にある問題を反映していながら、
それなのにオリジナル5作に共通しているテーマを
最も明確に表している所なんですよ。
これさっき書いたな。

それは何かっていうと、
これまで人間と思ってなかった奴ら(まあ、実際、映画では人間ではなくて猿なんだけど)にも
心がある!
っていう事だと思うんスよねぇ。

そう思って見るとですね、
直接的には、現実に、すぐそこにある問題を描いていながら、
例えば911以降とか、その後のイラク侵攻とか、それもウヤムヤになった
その後の
(特にアメリカから見た)世界観ていうものの
風刺に成り得てると、そう思います。