最近、学習塾業界の業界誌などでは、
今年の春戦線の募集の苦戦は消費税の影響が大きい
という主旨の記事が散見されます…。
船井総研にいると様々な業界における消費税増税の影響などがわかりますが、
その視座から見てみると、上記のような短絡的な解釈をしているのが少し寂しくもあります・・・。
学習塾の春期戦線が苦戦傾向なのは消費税増税の影響などではなく、構造的な問題です。
1.そもそも少子化(毎年各学年1~2%減少)
2.そもそも子育て世帯の低所得化
3.上記にもかかわらず個別指導塾の乱立で1教室あたりの生徒数は年々減少傾向
4.少子化に関連して地方部では地元の進学校の倍率は低下傾向。別に勉強を無理する必要がない
5.個別指導塾の存在、これまでの集団指導塾の「夏から!」とか「3年でも間に合う!」などの打ち出しによって消費者にとって「春から始める」という意識が既になくなりつつある=困ったとき、思いついたときでいいという感覚
6.そもそも学習塾業界自体の品質劣化によって「成績が上がらない塾」が増えているため、費用対効果を感じない
7.大手学習塾の合従連衡により、寡占化がドンドン進行。積極的な広報戦略によって、中小零細塾の立場は危うくなっている
上記のような構造的な問題で学習塾業界そのものが危機なのです。
決して消費税の影響などがメインではありません。
「今でしょ」の林先生は受験必要論の中で盛んに「少子化」「競争がなくなりつつある」という主旨の言葉を発していますが、さすがに歴戦の現場講師の感性は正しいです。
問題の本質を正しくとらえることができなければ、当然正しい解決方法にたどりつけないでしょう。
安易に他責の発想、外部環境のせいにしているレベルでは、これからの学習塾業界における生き残りは難しいと思います。