初デートは・・・
その後、夏を前にして早くもバテ気味になった俺は、
適度に仕事をの手を抜くことも覚え始めた。
仕事は山のようにあるが、いかにもこなしたかのように見せかけていた。(`ー´)
そして、久々に休みもとって、彼女と遊びに出かけたりもし始めていた。
*彼女の名は美沙。後日登場。
そんな時、優奈からデート?に誘われた。
「お兄ちゃん、次の休み、映画見に行かない?」
人混みが大嫌いな俺は思わず言ってしまった。
「えーーー!!家で観てた方がええんちゃうか?」
でも少し寂しそうに
「わかった・・・」
という優奈を見て、やっぱり言い換えた。
「ハイハイ、わかった、わかった、連れてったるわ」
「ホント?やった!」
無邪気に喜ぶ姿を見てちょっと意地悪したくなった。
「何観るんや?アニメか?少女漫画みたないやつか?」(*^m^)o==3
「ちがーう!恋愛もの!」ε=(=`・´=) プンスカプン!
「わかった。じゃそれ観て帰りはお子様ランチでも食べに行こか」( ̄∀ ̄*)イヒッ
「もぅっ!イジワルばっかり」
優奈をからかうと、おもしろくて楽しみになってきた。
それと、たまには、新婚さんを2人にしてあげるのもいいかもしれないとも思った。
映画を見に行く当日、車の中では楽しそうに話している優奈だが、
時折、考え事をしてるような素振りを見せるのが少し気になっていた。
それでも、映画も面白くて、楽しそうにしてる優奈を見れば、
気のせいだと思わされた。
帰りには、ちょっとオシャレなイタリア料理店に寄ってみた。
実は俺も1回しか行ったことがなかったが、
喜ぶ優奈の顔も見たくて、少しばかり背伸びをしてみた。
「えー、美沙さんとはいつもこういうところに来るの?」(^▽^)/
「そんなことないよ。((^┰^))ゞ たまにやな。優奈もいっぺん連れてきたろと思ってたから。」
「ありがとう!お兄ちゃんいつも優奈にやさしいね。妹になってよかった。」
「照れるやないか! (/ω\) まぁ仲良うしてこ。」
「うん。あと帰りにゲームセンター行きたい!」
「それはアカン!明日学校やろ、早よ帰って寝なさい。」
「行かなくてもいいんだけど・・・・・」
「アカン!っちゅうてんねん。お母さん心配するやろ。」
「わかった・・・・」
俺はまだ何も気付いてやれてなかった・・・・。
状況の変化②
新しい家族にも慣れてきたところだったが、
仕事が一気に忙しくなってきた上に、
大変なことが・・・・
50歳以上の管理職を全員リストラするという噂が流れ始めた。
組織は上から、部長、次長、課長、係長、主任の順になっているが、
俺の所属部署は、係長、主任が不在で、
働いている姿を見たことがない部長、
常に上の顔色だけをうかがっている次長、
全てを一身に背負っている、俺がお世話になっている課長がいる。
そして、なんと全員が50歳を超えている。
これからどうなるんだろう?
そう思っていた矢先に役員から俺が呼び出された。
「鈴木、お前主任にしておいたから。」
「はい????」(゚ペ)?
「言う順序がおかしくなったけど、とにかく頑張ってくれ。
経費を使うことがあれば、直接俺にメールをくれればいいから。
じゃあよろしく。」
うちの役員はしつこく聞くことを好まない、冷徹で合理的な人。
だから俺も、まぁ課長に聞けばいいや、と思いその場を後にした。
「課長ー、役員から呼び出されてなんか色々言われましたけど聞いてます?」
「あぁその件か、詳しくは聞いてないけど。皆に言うことがある。全員集めてくれるか。」
「はい・・・・・。」
「部長と次長と私は、今月をもって退職することになった」
「はい????」(゚ペ)?
「経営悪化の責任をとることになった。皆さん今まで有難う。
今後のことは詳しくは聞いてないが、鈴木が上司になるということ。
皆で鈴木を助けてあげてほしい。以上。」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
頭の中がまとまらなかった。
経営責任は役員がとるべきではないのか?
部長と次長はわかる、課長までリストラする必要があるのか?
俺は何をどうしたらいいんだ?
そもそも出世したことを後から聞くとはどういうことだ?
これでも上場企業か?
この会社、潰れるのではないか?
様々な不安や疑問が過ぎっていた。
しかし、その日から闘いが始まった。
経営状況の資料作成
取引先との折衝
アルバイトへのリストラ勧告
山のようにやったこともない仕事が次々と振られてくる。
とにかく必死に働き続けた。
家に帰ったときには、皆寝ている時間、起きるのも早く、
家族と顔を合わせることも少なくなっていった。
状況の変化
正月も明けて、暫くした頃、
会社がざわめき始めた。
今期は見込みで55億の赤字が出そうだという。
55億? ( ̄ー ̄?).....??
わからん。何でこんなに忙しいのに
55億も赤字が出るんだ。
経営のことなんてまるでわかってなかった俺は
人事ぐらいにしか考えていなかった。
しかし、その後そうも言ってられない事態が起こる。
希望退職者募集!
会社が本格的に動き始めた。
特に管理職の人は次々に話をもちかけられているようだ。
そして俺にも影響が。
「当分の間は転勤は凍結」が決定された。
当然と言えば当然。
しかも、研修なんていってられる状況ではないようだ。
こうして、結局俺は、新しい家族と共に一緒に暮らすことになった。
4月になって、本格的に暮らし始めるため、
由美子さんと優奈ちゃんの2人が家にやってきた。
除々に打ち解けてくれるようになった優奈ちゃんは、
「隼人お兄さんが居てくれてよかったです。」と
ヽ(^-^ )うれしいこといってくれる。
「じゃあ今日から家族やから、敬語はやめよ。
俺もお母さん、優奈って呼ぶから。」
「それじゃあ、私もお兄ちゃんでいい?」
「うん。そうしよ。」
わずかな人生の中で、身近な人を5人も亡くした俺は、
優しい、歳の離れた妹は大歓迎であった。
新しい生活も楽しみであった。
しかし、会社の経営悪化で毎日忙しくしていた俺は、
その後の優奈の状況の変化に気付いてあげることが
出来なかった。
