レオロジー
分散系の粘度
分散系の粘度を関係付けた式としてアインシュタンの式がある。
ηred=η/η₀=1+2.5φ ①
①式は稀薄溶液に限ったもので、φの範囲は0.01~0.02、相対粘度で1.02~1,05である。分散相の濃度が高くなると、粒子の力学的相互作用が生じ、これをある程度考慮
した式として、アインシュタンの拡張式がある。
ηsp=aφ+bφ^2+cφ^3・・・ ②
a:2.5
b:14.1(E.Guth R.Simha)或いは7.349値(後藤)
分散相が固体ではなく、牛乳のように脂肪球が分散しているエマルションでは、ずり
によって球形の分散相は回転し、それによって内部の流体は流動をおこし、その度合
は分散相の粘度によるものである。いまその粘度をη'とすると、流体力学的に次式が
導かれている。
ηrel=1+((η₀+(5/2)η')/(η₀+η'))φ ③
③式のφの係数はη'が∞の時、即ち液滴が剛体として振る舞う時はη₀/η'=0で、5/2が
残る。η'=0の時1まで低下する。このように液滴内の循環流が存在すると、φの係数
が2.5より小さくなる。
粘度の温度依存性
温度が高いほどAからBへ移る確率、即ち一度結合してから離れる確率Pは次の式の
右辺のポルツマン因子で表される。
P=e^(-E/KT)
E:活性化エネルギー
K:ポルツマン定数
T:絶対温度
温度が高いほどAからBへ移る確率、即ち一度結合してから離れる確率は大きい。
反対に分子や粒子がAからCの状態に滞在する時間τは、この確率に逆比例する。
τ=e^(E/KT)
分子や粒子が一時的結合状態に保たれる時間が長いほど粘度は大きいと考えられるから、粘度ηは、η=Ae^(E/KT)=Ae^(ΔE/RT) アンドレートの式
R:ガス定数
ΔE:1mol当りの流動の活性化エネルギー
アンドレート式の両辺の対数を取って、lnη=lnA+ΔE/RT であり、各温度に於けるηの実測値よりln~1/Tの関係のグラフから、直線の勾配としてΔEを求めることが出来る。尚、この式は広い温度範囲では成立しないことがある。その他、温度と粘度との関係式として、アンドレートの式を修正した次の式がある。
η=Ae^(ΔE/R(T-C))=C/(1+At+Bt^2)
C:絶対温度Kで表す補正温度
A,B,C:定数
t:℃で表した温度
参考文献
化学装置