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  炉の伝熱計算

 


熱勘定
入熱Qi
⑴燃料の持ち込む熱量Qi₁燃料の発熱量と温度θ₀を基準とした顕熱との和として与えられる
高発熱量を採れば、Qi₁=Hh+cpf(θf-θ₀)[kJ/kg fuel]
低発熱を採れば、Qi₁=Hl+cpf(θf-θ₀)[kJ/kg fuel]
cpf:燃料の定圧比熱[kJ/(kg・k)]
θf:燃料の送入温度[℃]

⑵空気の持ち込む熱量Qi₂
温度θ₀を基準とした送入空気の顕熱
Qi₂=Acpa(θα-θ₀)[kJ/kg fuel]

⑶水蒸気の持ち込む熱量Q₁₃
Gsとθsを水蒸気の送入量[kg/kgfuel]又は、[kg/m^3Nfuel]と温度[℃],rを温度θ₀[℃]に於ける蒸発の潜熱[kJ/kg]、cpsを定圧比熱[kJ/kgk]とすると、
Q₁₃=Gs(hs-h₀)[kJ/kgfuel]

⑷被加熱物の持ち込む顕熱Q₁₄
炉に装入する際の温度θ₀を基準とした非加熱物の顕熱で、非加熱物の質量と定圧比熱をM[kg/kgfuel]とcpm[kJ/kgk]、装入温度をθm₁とすると、
Q₁₄=Mcpm(θm₁-θ₀)[kJ/kgfuel]

⑸非加熱物の化学反応による発熱量Q₁₅
鉄や鋼は加熱中に酸化されて炉内で発熱する。
Q₁₅=MΔhr
Δhr:被加熱物1kg当りの化学反応熱[kJ/kg]

出熱Q₀
⑴被加熱物の持ち出す保有熱Q₀₁
炉から取り出す際の、温度θ₀を基準とした被加熱物の保有熱である。θm₀を被加熱物の取り出し温度[℃]、ωを乾燥による被加熱物の減量率[kg/kg]とすると、
Q₀₁=M(1-ω)(cpm(θm₀-θ₀)+r')[kJ/kgfuel]
r':熔融等の相変化の潜熱で、吸熱を正とする。

⑵被加熱物の化学反応による吸熱量Q₀₂
石灰やセメントのように炉内で吸熱反応を起こすような被加熱物は、取り出し時に化学反応を持ち出すと考えた方が解りやすい。Δhrを化学反応による被加熱物1kg当りの吸収熱量として、Q₀₂=MΔhr[kJ/kgfuel]

⑶被加熱物から蒸発した水蒸気の持ち出す保有熱Q₀₃
水蒸気が炉を去るときの温度は排気温度θg[℃]に等しいので、
Q₀₃=ωM(cps(θg-θ₀)+r)[kJ/kgfuel]

⑷燃焼ガスの持ち出す熱量Q₀₄
高発熱量を用いる計算では、温度θ₀を基準とした湿り燃焼排気の顕熱と、燃焼過程で生成する水蒸気の蒸発した潜熱の和である。すでに発熱量から水蒸気の潜熱を除いてあるので、算入する必要がない。従って高発熱量使用時には、
Q₀₄=Gdcpg(θg-θ₀)+(Gw-Gd)cps(θg-θ₀)[kJ/kgfuel]

⑸不完全燃焼損失Q₀₅
Q₀₅=Vd(12630(CO)+59030(UHC)+33900(C)+10790(H₂)[kJ/kgfuel]

⑹燃えがらの持ち出す保有熱Q₀₆
温度θ₀を基準とした燃殻の持ち出し顕熱と、その中に含まれる未成分Δc[kJ/kgfuel]の
低発熱量の和で、
Q₀₆=(a+Δc)cpe(θe-θ₀)+33900Δc[kJ/kgfuel]

⑺放熱損失Q₀₇
炉壁を通しての熱貫流量、熱放射による損失熱量、それに冷却水の持ち出し熱量の合計量である。

⑻蓄熱損失Q₀₈
装置が熱容量を持つことによる熱損失で、連続操業のときは無視してもよいが、断続運転や回分式操業では全入熱の30~50%に及ぶことがある。

⑼吹込み水蒸気の持ち出す保有熱Q₀₉
炉に吹き込まれた水蒸気が排気と共に排出された時、それが持ち出す保有熱を出熱に算入しなければならない。
Q₀₉=Gs’(cps(θg-θ₀)+r)[kJ/kgfuel]
又は、排気中の分圧と温度に対応する水蒸気の比エンタルピーhsとして、
Q₀₉=Gs'(hs-h)[kJ/kgfuel]

工業炉に於ける被加熱物への伝熱量は、放射伝熱量、対流伝熱量の和である。
炉内に攪拌や噴流を衝突させるような加熱を行わない限り、一般的には放射伝熱が主である放射伝熱量は、絶対温度の4乗に比例するので次式で表せる。
QGc=5.67・10^-8・φcG・Ac(TG^4-Tc^4) [w/m^2]
φcG:総括熱吸収率=(εc・εG・FcG/(1-(1-εc)(1-FcG))) (矢木、国井らの式)
FcG=εG(AG/AT)((1+(AR/Ac))1/(1+(AT/AG-εG)FRc)
Ac:被加熱面面積
AR:反射面面積
AT:全炉内面積=Ac+AR
AG:ガス対外面積
εc:被加熱材の放射率
εG:ガスの放射率
FRc:形態係数

HC:炉床負荷=Q/(LF・LS・α)
Q:加熱能力
LF:有効炉長
α:炉床利用率
LS:鋼片長