今月、新札が発行されたらしい。

“らしい” というのは、まだ実物にお目にかかっていないからだ。

今のところ新札は、初日に一部金融機関の窓口に並んで両替してもらった人など、

ごくわずかな人たちしか手にしていないようだ。

２００４年の新札発行の時は、完全に新札に切り替わるまで５〜６年かかったという。

まぁ、新札になったからといって、お札の価値が増すわけでもなし、

渋沢栄一さんとのご対面は気長に待つとするか。

ところで、この新一万円札の肖像である渋沢さん、

ＮＨＫの大河ドラマではさすがに描けなかったが、無類の女好きだったらしい。

それは、地位も名誉も確立した晩年になってさらにひどくなり、愛人をたくさん囲っていたという。

６８歳で愛人との間に子供が出来た時、

「若気の至りで･･･」

と言ったというネタみたいな話も残っている。

※大河ドラマ『晴天を衝け』より

渋沢栄一を演じる吉沢亮さん

話が変な方向にそれたので、元に戻すことにしよう。

新札への切り替えは順次行われていく予定で、それまでは旧札も使用できるそうだ。

それまでというか、

一度発行された銀行券 (お札) は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失うことはない。

過去に３回発動された特別な措置は下記のとおり。

１. 関東大震災後の焼失兌換券の整理（昭和2年 / 1927年）

２. 終戦直後のインフレ進行を阻止するためのいわゆる新円切り替え（昭和21年 / 1946年）

３. １円未満の小額通貨の整理（昭和28年 /

1953年）

（日本銀行HPより）

これら特別措置で通用力を失ったお札以外は、通用力を失っていないということになる。

つまり、聖徳太子の肖像の一万円札や五千円札、伊藤博文の千円札、岩倉具視の五百円札などは、今も使えるということ。

板垣退助の百円札なんてのもあった。

ところで、

今回新札が出るのは、一万円、五千円、千円の３種類のお札。

またもや、あのお札は新しいものが発行されなかった。

あのお札というのは、これ (↓)

二千円札！

平成１２年 (2000年) ７月１９日に発行された。

表面には沖縄の首里城の守礼門、裏面には源氏物語絵巻の第３８帖の場面が描かれている。

二千円札には、他の紙幣のように歴史上の偉人は描かれていないのか、

というと、裏面の右下に源氏物語の作者紫式部が控え目にたたずんでいる。

(拡大図)

今年の大河ドラマの主役だというのに、

紫式部が描かれた二千円札はあまり脚光も浴びず、お目にかかる機会も少ない。

その理由はこうだ。

沖縄サミット (2000年7月21-23日開催) や、ミレニアム年にちなんで発行されたのだが、

自動販売機で使えなかったり、通常の紙幣であるにも関わらず、記念紙幣だと思った人が大事にしまい込んだりして、

沖縄以外ではあまり流通していないのだとか。

かく言う私も、一枚だけ持っているが、珍しかったので大事にしまってある。

こうした理由で二千円札は、２００４年を最後に発行されていない。

だが、増刷はされないが流通はしている。

では、どれだけ流通しているのだろうか？

日銀の統計によると、社会に出回っている二千円札は２００４年８月末の５億枚強をピークに急減。

２０１４年からは１億枚を切り続け、今年５月末時点で９７００万枚にとどまっている。

これは、１万円札の１１２億枚、千円札の４３億枚、五千円札の７億枚に比べてケタ違いに少ない。

(データは東京新聞記事より)

しかし、まだ日銀の金庫には大量の未使用の二千円札が保管されているという。

流通枚数が少ないことや、この保管されている未使用の在庫が無駄になることを避けるため、

二千円札は、２００４年にも２０２４年にも、新札切り替えの対象にならなかった。

だが、ものは考えようだ。

発行された時から、デザインを変更することなく存在し続ける二千円札は、

裏面を飾る源氏物語と同様、長い生命力を持つといえるのではないだろうか。

きっと、

紫式部さんも喜んでいらっしゃる･･･かどうかは

微妙。

※大河ドラマ『光る君へ』より

紫式部を演じる吉高由里子さん

新札雑感