日が落ちはじめるとそれはするりと忍び込むようにやってくる
冷たい冷たい
冬の先触れのような
その指先の温度を感じるみたいに
目に見えないのに確実にそこにある
毎日近づいてくるその日に向かって
ちっともみつからないから
ただただ気持ちばかりが焦る
一日一日
その日は近づいてくるのに…
今夜も見つからないものを探して
クローゼットや箪笥の隅々まで
ひっくり返す
床にはもう板の木目すら見えないほどに
ひらひらと広がる
彩にあふれた数多の布が脱ぎ捨てられて
美しい洪水のよう
今夜もまたみつからなかった
もうハロウィンはすぐそこまできているのに…
つぶやいた涙目の子供が探しているのは
いったいどんな衣装なのかしらん?
こっそり天井板の節目から覗いて
楽しみにして
でもまだ姿をみせてはいけない
近づいてくるそのお祭りの夜
そのときまで
BY Blue