弐 | Halloween!Commando☆2021






闇を切り裂くみたいに蹴りをひとつ


そこから滑らからにゆっくりと動きだす
次のステップへと続けてゆくための準備運動なのか?
けれど実は何ひとつ考えているわけじゃない
ただ体が覚えた一連の動作は無意識に無造作にだらだらと続けられる


けれど汗の光る僧帽筋の動きは滑らかで
傍でみているものには美しいと思わせられるから
その男の頭の中身がとても軽いとか、そんなことまではわかりはしないし
なんの問題もないのだった


しかもここにいるのはそんな輩ばかりで
さっきからずっと的当てばかりしているもうひとりだって
相当な軽い発言を繰り返しては顰蹙をかい続けてばかりいる
もっともそれはわざと寡黙な相手を挑発しているのだと誰の目にも気づけるほどのベタな態度で
普段から彼らはとても仲が良いと知っていなくても充分
第三者としては阿呆らしいとしか思えないのだった



薄暗いホールは真昼だというのに海の底にいるみたいだ
煙草の煙が白くゆらゆらと揺らめきゆっくり沈み込んでゆくマリンスノー

暗い照明に鈍く光るグラスのきらめきは
きっと水底から見上げる太陽の光のかけらに似ているんだろう
















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