薄闇をゆっくりと流れる紫煙
ゆらゆらと不安定なその軌跡を視線はぼんやりと追う
何かに似ている、と
思考すらいらない単純作業を手先だけが忙しく続けていたはずなのに
ふとそんなことを思いつく
たゆたうように流れていたと思えばふいに動きを早めそして消える
それはあの銃口からながれ出た煙のようだ
硝煙の匂いが漂う
あの紫煙が嫌いではなかったけれど、忌まわしいのは事実で
何度もそれを眺めて
生きていることを確認するのは虚しいといつから思うようになったのか
踏み越えた死体の数をひとつひとつ数えながら
悪戯に銜えた煙草の紫煙なんてその時は気にも留めなかった
時折響くダーツの矢が的を貫く音に度々現実に引き戻される
遠く飛びがちな思考をまた目の前のゆらゆらとした紫煙に向けなおす
誰にも気づかれもしないだろうその存在
脈絡の無いあわあわとしたそれを不意に過ぎる影が切り裂いた
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