電話が鳴った。
丁寧な言葉遣いの落ち着いた声音。
中学時代のクラスメイト、委員長の芳田くんからだった。
何十年たったのだろう。
あの、真剣なこどものときから・・・。
「都合の悪い曜日とかはありますか?
早くても一ヶ月後位にはなってしまうでしょうけれど、また詳しいことが決まったら連絡します。夜は御自宅にいらっしゃいますか?」
極め細やかな営業マンのようなその声には かつてのクラスメイトとは思えない隔たりがあった。
何か事が動こうという時、私はまず悲観する。
そんなことをしてそれが何だというのだろうと。
会いたくない、わけじゃないけれど、集まったところですでにみんな見知らぬ大人になっているだろうに。名前さえ覚えていないかも知れない。
「みんながどんなふうになっているのか、一目みるのも楽しみだね!」
友はそう言って弾んでいた。
りっぱな大人になった姿をさらせるのならそれもいい。
私はどうだろう。
どんなふうに人目に映るのだろうかと自分をふりかえる。
未だ魔女修業の端くれ道中、世間の目はやさしくはない。
会えば、何かが変わるだろうか。
あの遠い時代は払拭され、けど戻る時間もあるのだろうか・・・。
「わざわざ声をかけてくれてありがとう。じゃあ、よろしくおねがいします^^」
じんわりと、悲観的志向から楽しみに変わったのがわかった。
想いを馳せて遠い昔。
続いてきているそれぞれの道が 時間と空間を飛び越えて邂逅する。
どんな人たちと一緒だっただろか?
彼らはどんな顔をしてたっけ?
そのイメージで再会して大丈夫なのかな!?
委員長の声が、遠い時代と今を繋いだ。