薄暗い部屋の中を一人の男が歩いてる。身の丈が2m近くあろうかというこの男は、頭がぶつからないようドアを慎重に抜けると、開けた部屋に出た。宮殿のような造りで、持ち主の位の高さを感じられる。
彼が持っている懐中電灯は一つの棺桶を照らしだしていた。その棺桶には豪華な装飾を施されており、何やら不気味な雰囲気を纏っている。
???「やれやれだぜ……」
そうつぶやくと、男は血を吹き出しながら崩れ落ちた。
全く気づかなかったが、棺桶は「いつの間にか開いていた」ーーーー
サム「ッ!!」ガバッ
サムは目を覚ました。額には玉のような汗が浮かんでおり、ベッドは汗でビショビショだ。
ディーン「どうしたサム、エロい夢でも見たか?」
サム「男が死んだ……止めなきゃ」
ディーン「……予知夢か、場所は何処だ」
サム「彼は日本語を喋っていたから日本人だと思う」
ディーン「じゃあ日本か?おいおいまさか悪魔の野郎日本にまで行ってんのかよ」
サム「あー、いや、彼は日本人だけど場所は多分日本じゃない… 確か……ハエが飛んでた…何だっけあれ……どこかで見たことあるんだけど……」
ディーン「ハエだと?それが何なんだ」
サム「えーと……そうだ、アスワンツェツェバエだ!昔何かの漫画で読んだけど、これはエジプトのカイロに生息するハエなんだ。ディーン!エジプトに向かおう!」
ディーン「恐れ入ったよ、これからお前のこと虫博士って呼んでやる。それよりエジプトだって?そんなの俺たちの仕事じゃないだろ」
サム「でも僕の予知は黄色い目の悪魔に関係してるんだ、それにあの男のことを放ってはおけないよ!」
ディーン「はぁ」
ーーーーーーーーーー
承太郎はある情報をもとにエジプトカイロに訪れていた。
承太郎「やれやれ、なんで俺が死後の面倒まで見なきゃいけねぇんだ」
ある情報というのは、エジプトカイロにて一つの心霊現象があるという事件についてだ。
通常、心霊現象など承太郎の業務外の事柄である。しかしこの件は否応にも承太郎が行かねばならない理由があった。
承太郎「金髪の額にハートがある霊……か」
承太郎にはその霊に心当たりがあった。
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サムとディーンはカイロ市内のホテルにチェックインしていた。
サム「二人で1泊頼む」
ディーン「おいサム見ろよ、これ、『空条Q太郎』だってよ。変な名前だな」
サム「きっと日本人なんだろう、向こうじゃ普通なんだ」
ディーン「それよりサム、その夢、他には手掛かりが無いのか?カイロ市内だとだいぶ広いぞ、日が暮れちまう」
サム「あー、えっと確か宮殿っていうか館みたいなところだった……あ、あとそれに……棺桶があって……」
ディーン「館に棺桶?変な趣味してるな」
サム「えーっと……あ、そうだ、棺桶にD・I……O、『DIO』って刻まれてた」
ディーン「『DIO』?ヘヴィメタルバンドの?」
ガタッ!
急に一人の男が立ち上がった
ディーン「……あんたもヘヴィメタル聴くのか?」
???「てめぇ……今確かに『DIO』っつったよなァ……?」
立ち上がると2mもあろうかという男が、鋭い剣幕で声をかけてきた
サム「ディーン、彼だ、今夜彼が死ぬ」
ディーン「こいつが?こいつならヘビー級チャンピオンにでも勝っちまいそうだぜ。お前よりもでかいやつ初めて見たよ」
サム「とにかく、今は彼から情報を引き出した方がいい」
???「めんどくせぇことは省いてストレートに聞こう」
???「てめぇ、スタンド使いか
?」
ディーン「……ああそうなんだ、よく分かったね?」
???「……(正直に答えたか…よほど自信があるのか、それとも敵じゃねぇのか?)」
ディーン「俺はスタンド使いのディーンだ、よろしく」
サム「僕はサム」
???「……俺は承太郎だ」
ディーン「ところでさっき……『DIO』って言葉に反応してたが、あんたも棺桶を探してるのか?」
承太郎「棺桶?いや、俺はある男を追っているだけだ。……金髪で額にハートがある男をな」
ディーン「額にハート?洒落てるな」
承太郎「……どうやらあんたは敵じゃないみたいだな。その男を見つけたら俺に連絡してくれ。これが連絡先だ」
ーーーーーーーーーーー
ディーン「なぁサム、スタンド使いってなんだ?」
サム「!?知らないで頷いたのか!?」
ディーン「上手くいったろ?」
サム「……」
サム「スタンド使いっていうのは悪霊を操つる人達の総称みたいだ」
ディーン「悪霊を操る?じゃあさっきの、えーっと…」
サム「承太郎」
ディーン「そう、ジョータローもそうだっていうのか?そんなこと許されるわけがない」
サム「いや、悪霊とはいうけど言うほど邪悪なものではないみたいだ」
ディーン「……」
サム「それよりディーン、調べてみたらこの辺で殺人事件が多発してる。どれも干からびたみたいに死んでいて、何より防犯カメラには何も映っていないらしい」
ディーン「間違いないな、死体を調べに行こう」
ーーーーーーーーーーー
ディーン「警官のジミー・ペインだ、死体を見せてくれ」
サム「すごいなこれ…ほんとに干からびてるって感じだ」
ディーン「間違いないな、これは吸血鬼の仕業だ」
サム「でも吸血鬼が一体どうやって防犯カメラをくぐりぬけたんだ?」
ディーン「わからん。とりあえず、殺人事件を結びつけてアジトを絞り込むぞ」
ーーーーーーーーーー
サム「ここだ、この館に間違いない」
ディーン「吸血鬼のくせに随分目立つ館だな」
サム「ディーン急ごう、もうあまり時間が無い」
あたりはもうすっかり暗くなっていた
ディーン「何だこれ……ここで戦争でもしたのか?」
サム「わからない……何にしても異常だ……あっ」
承太郎「ッ!?どうしてお前らがここにいる」
ディーン「あんたこそ、館巡りが趣味なのか?」
承太郎「ここは危険だ、死にたくねぇならとっとと帰りな」
ディーン「あんたこそ、ここは俺たちの仕事場だ、死にたくないならママのとこにでも帰るんだな」
サム「ディーン!……ごめん、でも確かにここは危険なんだ、君を死なせたくない帰ってくれないか?」
承太郎「悪いが、これは俺の因縁なんだ、部外者は……」
ディーン「因縁?あんたここの霊の関係者なのか?」
承太郎「霊?こいつはたまげた、まさか本当に化けて出てきてるとはな」
ディーン「なぁ、そいつについて詳しく教えてくれないか?」
承太郎「構わないが……あんたらのことも喋ってもらうぜ。いいな?」
その後お互いは事情を話した
承太郎「俺が死ぬ……か」
サム「ああ、僕の予知は確実だ。だからそれを止めに来た」
ディーン「あんたもすごい体験だな、まるで漫画みたいだ」
サム「だけどおかしいな、吸血鬼は確かに太陽光が苦手だけど、チリになるってほどじゃない。それにアステカの石仮面も聞いたことがない」
ディーン「こいつはオレ達が知ってる吸血鬼とは別物なのかもしれんな。それに死んでる……つまり霊だ」
デン!
ーーーーーーーーーー
ディーン「その『DIO』ってやつ……吸血鬼の霊だと?それに時を止めるだって?そんなのどうやって勝てって言うんだ」
承太郎「予知だと俺は不意を付かれて死ぬらしいが、あんた達のおかげでそれは免れた。あとは俺の『星の白金(スタープラチナ)』でなんとかする」
ディーン「おいおいオレ達は足手まといだってか?霊についてはオレ達の方が詳しい」
サム「それにまだ何があるかわからない、僕たちも同行するよ」
承太郎「……やれやれだぜ」
三人は件の部屋へと進んだ
サム「この棺桶だ、間違いないよ」
承太郎「D・I・O……やれやれ、またこいつのクソッタレな名前を見る羽目になるとはな」
ディーン「……いい趣味だな、オレが死んだ時もこうして欲しいよ」
WRY……
ディーン「サム、塩は?」
サム「周囲にまいておいた、聖水もあるよ」
承太郎「……来るぞ」
ディーン「」
サム「」
承太郎「やれやれ、初っ端時を止めて来るとはな」
???「ぐぬっ、何だこれは、塩か!?」
承太郎「ッ!!後ろか!オラオラオラオラオラオラオオラオラァ!!!」
???「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
スタープラチナとザ・ワールドの拳がかち合う
DIO「久しぶりだなァ承太郎…… よくわからん塩の所為で不意打ちには失敗したが、なに、もとより正面から闘って負ける相手ではない……」
承太郎「相変わらずお喋りが好きだなてめぇはよ…… 」
DIO「ンッン~ 承太郎、貴様あれ以降時を止める練習はしていないようだな…… どれ、そろそろ行動限界だろう。トドメを刺してやる」
承太郎「(ちっ、悔しいがヤツの言うとおり今の俺に止められるのは3秒が限界だ……そして、やれやれ行動限界だ)」
DIO「フハハハハ!何故蘇ったかは知らないが、これでジョースター家との因縁ともオサラバだ!死ねィ承太郎ッ!」
ザ・ワールドの逞しい腕が承太郎の腹を貫こうとする!
DIO「ッ!?」
ザ・ワールドの拳が止まる。
DIO「こ、これは……『塩』!?何故だ、何故このDIOが塩を避けるッ!?」
承太郎「やれやれ、てめぇ霊には塩が効くってのは知らねぇのか?(もっとも自分が霊だってことにも気付いてねぇみたいだがな)」
DIO「チッ……9秒経過、再び時は動き出すーーー」
DIOはそう言い残して姿を消した
ディーン「ッ!まさか……」
サム「時が止まっていたのか?」
承太郎「ああ、今DIOとやりあっていたところだが、あんたらの言った通り塩が効いた」
ディーン「きっと糖尿病なんだろうな」
サム「それでやつはどこに行ったんだ?まさか逃げたのか!?」
承太郎「いや、やつのことだ、間違いなく俺を殺しにくる…… おそらく今は、ナイフかロードローラーでも探しているところだろう」
ディーン「ロードローラー?イカれてる」
承太郎「なぁ、霊ってのはどうやって倒すんだ?まさか塩で除霊までできるわけじゃないだろ?」
サム「普通は死体を塩で清めて燃やす」
ディーン「DIOの死体は?」
承太郎「……チリになって消えた」
サム「じゃあ何か……DIOにとって思い入れがある品とかは?」
承太郎「……一つある」
ディーン「何だ」
承太郎「腕時計だ」
デン!
ーーーーーーーーーー
承太郎「祖父の話によると、昔DIOはジョナサンから腕時計を借りていったらしい」
ディーン「で、返さなかったのか?セコイやつだぜ」
承太郎「さっき話したとおり、DIOはジョナサンの首から下を乗っ取っている。それにジョナサンに敬意を払っているって話だ。それ故か、DIOはジョナサンから借りた腕時計をたまたま見つけた時、因縁を感じ大事にとっておいたらしい(ボロボロに壊れて止まっているらしいがな)」
サム「ディーン」
ディーン「ああ、それだな」
サム「承太郎の話じゃこの館は生前DIOが住んでいたところらしい、ここにある可能性が高い」
ディーン「それじゃあ承太郎、ここはあんたに任せた。オレ達はその時計を燃やしにいく」
承太郎「やれやれ、こいつはハードだぜ」
ーーーーーーーーーー
サム「すごいよディーン、文化的に価値のある本が沢山ある……」
ディーン「読書は後にしろ、今は時計だ」
ガタッ
ディーン「誰だッ!」
ーーーーーーーーーー
承太郎「……」
承太郎は気を張り巡らせていた。
おそらくDIOはナイフを飛ばしてくるだろうと読んでいたからだ。
無駄無駄無駄無駄……
ナイフをとってくるにしてはやけに長い。それに……この匂い……そして時間停止が訪れる
承太郎はDIOの狙いに気づき、咄嗟に館から飛び出ようとした、が……すでに活動限界に達していた。飛び出る前に承太郎の身体が止まる。
DIO「いい判断力だ承太郎……そう、お前の読み通り、『粉塵爆発』だ」
そう言ってDIOはマッチを投げ捨て、夜のカイロに飛び去った。
承太郎「(やれやれ…… せっせと火薬を振りまいてたってわけか……)」
再び時は動き出すーーー
ーーーーーーーーーー
女の子「た、助けて!!変な男に連れ去られて目覚めたらここにいたの……!!」
ディーンの目の前には小柄な女性がいた。
ディーン「おお……大丈夫、オレが助けてやるよ」
女の子「ありがとう……!」
ディーン「動くな」ガチャ
女の子「えっ……?」
ディーン「なああんた、手をもっと良く見せてくれ。オレの見間違いかもしんないんだ」
女の子「く、くそ……また失敗かよ!!」ガバッ
ダァンッ!
ディーン「黙ってれば良かったのにな……ヌケサクが」
ヌケサク「え、な、何でオレのあだ名わかったの……?」ガクッ
サム「ディーン、そいつが持ってるの……」
ディーン「腕時計か。こいつがDIOを呼び出したんだな」
ーーーーーーーーーー
承太郎「ふぅ……何とか、一命はとりとめたが……やれやれ、かなりヘビーな状況だぜ……」
承太郎は脱出の姿勢をとっていたため先ほどの粉塵爆発をかろうじて免れていたものの、満身創痍、もはや闘える状態では無かった。
DIO「みじめだな承太郎。お前が何の策もこうじずに再戦を挑んでくるとはな……」
承太郎「けっ……死に損ないのてめぇなんぞに……必要ねぇなそんなものは……」
DIO「どうしてこうジョースターの血統は負けず嫌いなのだ。まあいい、このDIOが貴様に確実な死を与えてやろう……」
承太郎「……」
DIO「いや…… 貴様のその目、何か策があるな承太郎!ジョースターの血統はあなどれん。ここは不用意に近付くのは危険だ」
承太郎「(チッ……こいつの勘の良さは……年の功ってやつか……)」
承太郎はスピードワゴン財団で拵えた小型紫外線照射機を懐に隠し持っていた。しかしDIOとの位置は遠く射程距離外である。
DIO「良かろう承太郎……次こそ、正真正銘最後の時間停止だ!『世界(ザ・ワールド)』ッ!!」
DIOは再び姿を消した
デン!
ーーーーーーーーーー
DIO「ロードローラーだッ!!」
あの時と同じように、DIOはロードローラーを持ってきた
DIO「あの時と同じミスはせん!」
それも二台だ
DIO「どうだ承太郎!いくら貴様でもあの停止時間じゃ二台のロードローラーから逃げられまいッ!」
承太郎「やれやれだぜ……」
その時、突然DIOの体が燃え始めた!
DIO「な、何ィッ!?何だこれは、まさか他にもスタンド使いが……ッ!」
承太郎「……ああ、そうだな……そういえばオレの他にも2人いたぜ」ニヤリ
DIO「く、クソ!消えない、火が……消えるどころか……オレの身体が……ッ!WRYYYYYYYYYYィーーーッ!!」
ディーン「おい見ろよサム、ロードローラーが空飛んでるぜ。それも二台もだ。よくあったな」
DIOは消え去った
ーーーーーーーーーー
承太郎「……助かったぜ」
三人は帰国するため空港に集まっていた。
ディーン「オレ達も正直、あんたがいなきゃまずかったよ、助かった」
サム「ありがとう承太郎」
承太郎「……霊のことで何かあったら、またあんたらに頼むぜ」
サム「僕たちもスタンドのことはまた承太郎に頼むよ」
ディーン「それじゃ、また会ったらな。忘れるんじゃねぇぞオレ達のこと」
承太郎「忘れるキャラしてねぇよ、あんたらは」
かくして、三人の仕事は終わった。
サム「なぁディーン、結局今回の件に黄色い目の悪魔は関わってなかったのかな?」
ディーン「黄色違いってか?まったく、やれやれだぜ……」
サム「ディーン、それ……」
ディーン「なんだよ」
サム「くくっ、なんでもない…はははは!」
ディーン「……おぼえてろよ」
to be continued...