合格体験記2023・その5 多摩美術大学グラフィックデザイン学科 推薦入試合格 | 渋谷美術学院、代表のひとりごと

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多摩美術大学グラフィックデザイン学科 推薦入試合格 

 

S・S

東京都 駒澤大学高等学校

 

入試再現作品

 

 

 

「好きなように生きなさい」

 

と両親は育ててくれました。

 

一般大学、専門学校、美大。

ありとあらゆる進路を考えた結果、美大に行きたいと思いました。

 

絵を描くのが好きだから、絵を描いて生きたいな、と思ったからです。

 

 

もう高3になる前の冬を迎えていました。

美術予備校のホームページを手当り次第見て回り、

その中で気になったのが渋谷美術学院でした。

 

すぐ体験入学を申し込みました。

初めてのデッサン。

 

まずデッサンが何なのか分からない。

鉛筆を貸して貰いましたが、

量が多くて何が何だか分からず、

とりあえずHBでいいか…と描き始めました。

無我夢中だったので鉛筆を変えるという考えが全くなく、

HBの鉛筆1本で描き上げました。

1時間が5分ぐらいに感じました。

私はとにかくデッサンというものに

興味が湧いて仕方ありませんでした。

 

話を聞けば聞くほど、

渋谷美術学院ほど好条件、

好環境なところは他にないと思ったので、

迷わずすぐに入学を決めました。

 

 

 

 

 

 

私は渋谷美術学院に入学して、

世界がいかに

 

美しいもので溢れていたのか

 

と気づかされました。

 

 

 

色の話を先生がしてくださったことがありました。

「光の三原色が混ざると透明になる。

今、目の前にある空気は透明だけど、すべての色が混ざっているんだよ」

と教えてくれました。

 

その話を聞いた日の帰り道、

私は深呼吸をして、

すべての色を身体に取り込みました。

さまざまな色が身体中を巡っているような

不思議な感覚になりました。

言葉にするのが難しくて上手く伝えられませんが、

私はこの時、物凄く感動したことを鮮明に覚えています。

認識ひとつ変えただけで、白黒テレビから8Kテレビぐらい、

一気に世界が色で溢れて見えるようになりました。

 

 

「私はきっとこういう感動を味わうために学んでいるんだな」と思いました。

 

この日から、私は日常生活の中で美しさの欠片を見つけるようになりました。

毎日通る道で、毎日新しい発見を見つけるようになりました。

ふとした瞬間の美しさを見逃さないように生きるようになりました。

 

私は美しいものをさらに感じられるように、

見つけられるようになるために、

勉強していました。

 

 

学べば学ぶほど、世界の解像度が高くなっていくようで、

『学ぶのが楽しい』という感覚に初めて出会いました。

 

講評の時間、私は先生が放す一言一句をすべて書き取っていました。

先生のボソッと呟いた独り言も私にとっては学びの欠片でした。

それくらい作品に対して熱量を持って毎日を過ごしていました。

 

 

学院は、分からないことがあったら、すぐにきける環境です。

 

私はいつも子どものように

 

「分からない!」

「なんでそうなるんですか?」

「どういうことですか?」

「さらに分からなくなりました!」

「理解できない!」

「なんでなんですか!」

「私に分かるように説明してください!!!」

 

と、怒涛の質問ラッシュを先生に度々浴びせていました。

先生は私が納得するまで、疑問に答えてくれました。

デザインもデッサンも、

美術というのは白黒ハッキリ答えがあるものではありません。

だから、答えといっても「気づき」のヒントを教えてくれるという感じでした。

 

 

「○○は●●だから。」

と意見を押し付けるわけではなく、

 

「○○は●●だと思わない?」

と、私に考えさせる。

 

私は「○○は●●なのか…?」と何日も何週間もかけて理解しようとしました。

 

 

するとある時、「あ!分かった!」とか、

「これはやっぱり同意できんな」とか、

自分で答えを見つけることができました。

 

 

先生は一人一人の個性を大事にしてくれたので、

私の考えを否定することはありませんでした。

なので、私は自分を見失わずに学ぶことができました。

 

 

答えがないからこそ、面白い。

分かるようになるのが楽しい。

好奇心が止まりませんでした。

 

 

学院には書籍が沢山置いてあり、

私は毎日、本を読みまくっていました。

同じ本を何回も読んだりしました。

1回目読んだときは気づかなかった

新しい価値観が何回目かに発見できるようになるのが面白かったです。

 

あの時は良いと思わなかったけど、

今見ると凄く良い!そんな体験を沢山しました。

読んでも読んでも読み切れないほど本があるので、

毎日、個性溢れる作品に出会い、刺激を受けていました。

 

 

どうやって作ったんだろう?

どうやって思いついたんだろう?

どうしたらこういう作品を作れるだろう?

と色々考えながら見るのが好きでした。

 

 

テーブルで本を広げて友達に、

どのデザインが好き?と尋ねるのも好きでした。

 

「このタイポの位置凄いよね!」

「ここのスキマがいいよね!」

 

など高校生らしくない話をするのが楽しかったです。

 

私はその膨大な本の中で、

 

『大貫卓也仕事全集2』

 

という本に出会いました。

 

名前通り、大貫卓也さんの手がけてきた仕事が全て載っていました。

5センチほどの分厚い本でしたが、毎日持ち歩きたいくらい面白い本でした。

広告が完成されるまでのプロセスや、デザインへの考え方など、

大貫卓也さんの「楽しい」がたくさん詰まっている本でした。

その本で影響を受けた私は、

「大貫卓也さんのようになりたい!」と強く思いました。

そして多摩美のグラフィックデザイン学科の教授をしているのを知り、

 

『絶対絶対グラフィックデザイン学科に行く!!』

 

と決意しました。

 

 

それからというもの、大貫卓也さんという目指すべき人を見つけたからか、

デザインやデッサンにますます熱中していき、

不安定ながらもメキメキと上達していくことができました。

 

 

 

しかし、現役の時、

グラフィックデザイン学科の推薦には落ちてしまいました。

試験を受け、自分に足りないものを実感しました。

それまで順調だったせいか、

急に金縛りのように身動きがとれなくなりました。

推薦後から一般試験までは、

ただただ、がむしゃらに毎日を過ごしていました。

一生懸命考えて、一生懸命取り組んでいるのに、伸びない。

「成長してるよ」と言われても、成長してると思えない。

私は完璧主義で理想が高かったので、

自分の欠点ばかりを補おうとして、

長所を見ようとしませんでした。

 

そして、いつの間にか「楽しく」描けなくなりました。

 

 

 

受験したのはどうしても行きたい

多摩美術大学グラフィックデザイン学科だけ

 

結局、一般入試は

 

「もっと上手くなりたかった」

「不完全な自分が嫌だ」

 

と、自分に劣等感があったからか、

小心者のようなデザインをしてしまい、不合格でした。

 

しかし紛れもなく全力で駆け抜けた1年間だったので、

これで落ちるなら…と、

未来に希望が持てなくて浪人を少し躊躇していました。

 

その日、同じくグラフィックデザイン学科志望で単願受験。

そして不合格だった友達に電話しました。

落ち込んでいるだろうなと思っていたら、

 

 

「春期講習会申し込んだ!」

と言われ、仰天しました。 

 

合格発表から2、3時間しか経っていないのに、

友達はもう前を向いて歩いていたのです。

 

不合格だったことについては

「逆に笑えた!」と。

 

1周まわって私もなんだか笑えてきました。

 

この友達がいるならもう1年頑張れると思い、

浪人することを決めました。

 

とは言っても、すぐに切り替えれるわけなんかなく、

なんなら春期講習会を受けるか悩んでいました。

落ちた現実を認めたくなかったからです。

学院に行きたくない、と思ったのは初めてでした。

 

そんな風に過ごしていたある日、

  

学院から授業態度と作品の質を鑑みて

特待生にします、という内容の書類が届きました。

 

 

私は落ちて以来、

「一体、何が悪かったのか」

「どうしたらよかったのか」

「どこで選択を間違えたんだろう」

と自分を責めていました。

しかし私は心の隅で、

誰かに「落ち度なんてない。よく頑張ってたよ」と肯定してほしいと思っていました。

なので山本先生が特待生という形で

私の1年間の頑張りを認めてくれたことがすごく嬉しくて、励みになりました。

 

家族の応援もあり春期講習会に参加し、

私は創ることの楽しさを再認識することができました。

 

きっと参加しているみんなが楽しんでいるんだろうな

というくらい春期講習中はアトリエ内の空間が「楽しい」で包まれていました。

 

 

そして浪人生活が始まり、私は徐々に自信を持てるようになっていきました。

 

キッカケは

 

色ラボ

 

という色を研究するワークショップのときでした。

 

通常課題の時は5時間しかありませんが、

このワークショップでは講評まで1週間ほどタイムリミットがあり、

私はあれはどうか?これはどうか?、と朝から晩まで考えて作品を創りました。

夢の中までも作品のことを考えていました。

 

 

その講評のとき、ある学生講師の先生に

 

「いっぱい試行錯誤して創ったのがよく分かる。

 だから凄く良い。ここまで成長できたんだから、

 浪人して良かったと思うよ。自信持っていいよ」

 

と言われ、その言葉に心が救われました。

 

 

その日を境に、少しずつ自分に自信を持ち

作品を創れるようになっていきました。 

 

現役の時は、どうすれば点数が伸びるか、

上手くなるか、など、

どうしたら評価してくれるのかばかり考えて作品を創っていました。

当たり障りのない作品を作ろうとしていました。

それは多分自分に自信がなかったからです。

 

 

浪人中、私は、自分の好きなように、

描いて楽しいと感じる作品を描くようになりました。

 

そう過ごしているうちに

 

点数が伸びない。

良い作品が作れない。

上手くならない。

などと悩まなくなりました。

 

 

 

山本先生はいつも「楽しんで!」と言っていました。

私はなんでそう言うのか、よく分かっていませんでした。

恥ずかしながら、楽しむよりも他にあるんじゃない?と思っていました。

 

 

しかし浪人してこの言葉ほど究極の言葉はない、と気づきました。

 

「楽しい」は原点にして頂点

だと思います。

 

 

推薦試験前日の帰り際、案の定

山本先生に「楽しんで!」と言われました。

 

私は自信満々に「はい!」と答えました。

 

 

不安なんか一切ありません。

誰よりも自分らしく、自由に楽しく作品を作れる自信がありました。

どんな課題でも描ける自信がありました。

はやく作品見せたい!

競走なんか、もはやどうでもいい。

受ける人数が多かろうが関係ない。

運なんかに頼らない。

全力投球の実力勝負。

今の私なら絶対受かると確信してました。

1年越しの反撃。

どんなことしてやろう、とワクワクしていました。

とにかくビックリさせたい!

こんな作品見たことないって驚かせたい。

すごいって言われたい。

認めてほしい。

 

 

色々な想いを胸に試験会場に行きました。

試験は全く緊張しませんでした。

 

どんな課題がでるのか楽しみでしかたありませんでした。

毎日「何が出るんだろ?」と考えながら過ごしてきた私にとって、

待ち遠しかった漫画の続きを見れるぐらい楽しみにしていました。

 

 

デッサンの課題が「両手をモチーフに緊張感を描きなさい」というもので

「良い課題きた…」

と見た瞬間感動しました。

よく分からないヘンテコな課題は苦手だったので、

やりがいのある課題だったのがラッキーでした。

こんな良い課題にしてくれたんだから良い応え方をしなきゃ!と

私は使命感に燃え、楽しくデッサンを描けました。

 

 

クリエイティビティテストは大好きを詰め込んだ作品だったので、

自信しかありませんでした。

 

1日目が終わり、私は明日が楽しみで仕方ありませんでした。

 

私はデザインがすごく好きだったので、

 

 

どの表現でやろう?

何が出るんだろ?

とにかく描きたくて堪らない!

 

とワクワクしていました。

 

そんな自分を客観的に見て、

「たぶん受かるな」と漠然と思いました。

 

根拠は、今日すごく楽しかったから。

明日をすごく楽しみにしているから。

 

上手い下手よりも、

私は「楽しい」という感情を絶大に信用していました。

 

 

 

 

 

2日目の朝、靴を履く時、

「もしかして靴かな?」と、ふと頭によぎりました。

事前に予想していましたが、

念の為エスキースを最終チェックして試験会場へ向かいました。

 

 

試験が始まり、課題文の用紙をめくると

「靴をモチーフにstyle」でした。

 

私は見た瞬間、勝ちを確信しました。

 

 

 

最高に楽しくて、最高に自分らしい作品を創れた推薦入試でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

合格発表日。

やれることは全部やってきたからこそ、

不合格だったら…と考えると不安で、なかなか見ることができませんでした。

覚悟を決め、ポチッと押し、現れた画面には

 

 

『合格しました。』

 

 

の文字。読むより先に涙が溢れてきました。

認められたことがなによりも嬉しかったです。

 

私は試験に落ちた時の、苦しみ、悲しみ、痛み、悔しさをバネに、

去年よりも何倍に何十倍にも成長することができました。

できるまでやらないからできない。

だから、できるようになるまでやろうと思いました。

下に落ちるのも、次に昇るために必要です。

私は落ちるべくして落ち、

その結果、今年、グラフィックデザイン学科を推薦で合格できたのだと思います。

 

 

 

 

 

去年、試験に落ちた時、兄に言われた言葉があります。

 

 

『人間万事塞翁が馬』

 

人生における幸不幸は予測しがたいということ。

幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからないのだから、

安易に喜んだり悲しんだりするべきではない、というたとえです。

 

 

私は浪人することを不幸だと思っていました。

現役で受かる方がいいと思っていました。

しかし今では浪人できたことが幸せだったと気づきました。

 

 

もう1年勉強できる

もっと成長できる

自分に自信をつけられる

後悔なく次のステップに進める 

 

 

これ以上の幸せはないと思います。

去年合格していたら、きっと私は

しょうもない人間になっていたと思います。

1年かかったけど、私はこの1年のおかげで、

クリエイターとして、1人の人間として、

成長することが出来たと思います。

 

 

 

私が浪人中、挫けても、前を向いて頑張ってこれたのは、ある友達のおかげです。

その子は、現役の時からライバルで、私をずっと引っ張ってくれました。

「切磋琢磨」は私たちのための言葉なんじゃない?と思うくらいです。

その子がいなかったら私は推薦で合格できていかなったと思いますし、

ここまで成長することはできなかったと思います。

私はその友達の全力で真っ直ぐな姿に何度も励まされました。

今回、推薦でその友達と念願のグラフィックデザイン学科に合格することができて、

私は心から嬉しいです!

 

私にとって、渋谷美術学院で出会った

友達との日々はとても大事なかけがえのない宝物です。

 

 

私は渋谷美術学院で学ぶことが出来て本当に良かったと思います。

山本先生と講師の先生方には沢山沢山お世話になりました。

 

 

2年間ありがとうございました!!!!