STUDENT: POSTER DESIGN
MERIT: Chili Oil Portrait / Tama Art University / Japan
http://www.adcawards.org/downloads/ADC91th_MediaKit_Winners_only.pdf
S.K 東京都 高輪高等学校卒
多摩美術大学グラフィックデザイン学科在籍
渋谷美術学院に入ったとき、
私は美術については全くの初心者でした。
なぜなら、デザインに興味はあったものの
美大受験を考えていなかったからです。
それにも関わらず、渋谷美術学院に通ったのは、
デザイン誌で山本ヒロキさんの特集を見たからです。
年齢は書いてありませんでした。
若いのにとてつもなく格好よくミニマルでパワフルな作品群を視て、
この方にデザインを教えてもらいたいと思いました。
そんなこんなで
右も左も分からぬままに飛び込んだので、
まずは自分で水張り方法を調べたり、
学院の友達に鉛筆の種類や筆など、
色々のことを教えてもらったりしました。
本当にそれくらい初心者だったのです。
そうやってなんとか学院の授業についていこうとしたのですが、
他のみんなは美術経験者、本当に初心者で現役生同然の私は
当然ながらなかなかみんなと差は埋めることはできませんでした。
講評ではけっこう下段ばかりだった気がします。
しかし、たまに講評で自分の作品が上段にいくことがありました。
勿論、他の子に比べると拙いのですが、
「味がある」、「課題に沿っている」
などと、そんなところを買ってもらえることがありました。
『受験勉強(技術)は教えない』
というのはきっとそういうことなのでしょう。
上手く描ければ良い訳ではない。
上手ければ評価される訳ではない。
それ以上に大事なものが、デザインにはあるのです。
もちろん最低限の技術は必要なので、上手くなりたいと思いつつも、
真摯に、素直に課題に向き合うようにしていました。
デッサンでもデザインでも、
作り手の意図は作品から出てしまうものだと思っていたので、
そのような気持ちで制作をしていました。
というよりも、その真摯な気持ちを伝えたい、
そんな風に考えていました。
そうして、冬に差し掛かろうとしている頃のことでした。
あるデザイン課題で、私は制作時間の半分以上を思考に費やし、
その分、画面はとてもシンプルなものにして
周りのみんなとはかなり違った作品を制作しました。
その講評では、切り口や画面がみんなとは違うこと、
そして視る人とのコミュニケーションがとれてていいじゃん!
わかるよ!と山本先生に言って戴き上位になることが出来ました。
そのときにやっと、少しだけ「デザインが分かったかも」
そう思えました。
このように、ほんの少しですが私がデザインを理解できたのは、
受験勉強ではなく、デザインの大事なものを
しっかりと教えてくれる渋谷だったからこそなのではと思っています。
そして、初心者の自分が1年足らずでそんなに成長できたのも、
少人数でしっかりと個人相手に指導をしてくれる
渋谷のおかげだと思っています。
何よりも、クリエイターとして、
一人の人間としての心構えを教わったこと、
プロのデザインに対する姿勢を
間近に見れたことはとても大きいと思っています。
山本先生は皆と同じアトリエで突然何かを創り出したりしてくれます。
そしてその姿勢には圧倒されてばかりです。
それはドローイングのようなものであったり、コラージュであったり
様々なのですが、それを素材にしてデザインしたものが
数ヶ月後に広告として雑誌に載っていたり、
駅にポスターとして貼ってあったりするのです。
あれが、こうなったのか!と驚かされてばかりでした。
大学生でもプロのデザイナーの制作の姿などを視ている人は
そういないのではないかと思います。
制作中など、自分がへこたれそうなときも、
山本さんの仕事に対する態度や姿勢を知っているので、
こんなところで負けられない、と思えます。
「山本さんがあんなにやっているのに
自分がこれで満足していたら追いつける訳がない」
どうしてもそう思ってしまうのです。
それと同様に、大学の課題制作などにおいても、
『人とは違ったデザイン、攻める姿勢』を意識できています。
勿論まだまだ自分に甘く、ダメなことも多いので、
こんなことを言える立場ではないのですが、
いつも頭の中にはその意識があると思います。
入試を振り返ると正直な話、
自分は全く攻めることが出来ずに
守りに入ってしまい、最悪でした。
それでも大学には受かったのですが、
このまま入学しても良いものかと、悩みました。
あくまで受験は通過点と考えていたので、
楽しんだ上で満点で自信たっぷりに合格したかったのです。
何より、あんなにお世話になったのに
不甲斐ない作品で合格してしまったことが申し訳なかったのです。
しかし、人にはタイミングというものがあります。
ただの通過点の、たった数日間の受験にはこだわらず、
今後自分がどうするかが大事だと思い、進学しました。
そうして現在、
大学の課題には苦戦していますが、なんとかやれています。
課題だけでなく、時間を作ってコンペにも精力的に応募し、
こんな未熟な自分でも入選などさせて頂いています。
それも学院でのTDC週間の経験から、意識を高く、
少しでも世界に向けられているからだと思いますし、
学院の参考図書や都内の展示などで、
多くの優れたデザイン、アートを視ていたからだと思っています。
勿論、賞を頂くことが第一の目的ではないのですが、
応援してくれている親に自分の成果を分かりやすい形で示せますし、
何より自分のことのように喜んでくれるので
賞を頂けることはとても嬉しいことです。
そして学院への恩返しではないですが、
お世話になったことへのお礼にでもなれば嬉しいなと思っています。
ついでに、余計なお節介かもしれませんが、
いま学院で学んでいる生徒、
これから学ぶ生徒に対して少し書かせて頂きます。
渋谷美術学院は誰でも成長させてくれるようなとても良い環境です。
しかし、どんなに良い土壌に種を植えたとしても
水やりやケアを欠かせば、芽は出ないでしょう。
最後は結局、自分次第なのだと私は思っています。
そこで差が出るのではないでしょうか。
勿論、みんな成長はするのですが、どうしても差はあります。
個人個人のタイミングもありますが、
そういったところも関係してくるのではないかと私は思うのです。
とはいっても、どんなに弱い自分でも、
自律できるよう指導してくれるところが渋谷美術学院でもあると思います。
本当に、自分が真剣に取り組めば絶対に結果が返ってくると思いますし、
先生や友人も応えてくれると思いますので、
決して他人任せにはならず、しかし信頼し、
常に自分で思考して成長していって下さい。
最後になりましたが、渋谷美術学院の先生方、
同期の皆様、本当にお世話になりました。
皆さんのおかげで今の自分があると思っています。
口べたなので上手いこと言えませんが、
少しでも恩返しが出来るよう、精進していきます。
本当に、ありがとうございました。
大学生活はとても楽しいです。
大学での課題


↓
発掘してしまいました
一年前の4/20の
学院での初デッサン
個人的には10枚目くらい?
ここからのスタート
すごい上達しましたね

すばらしい

雰囲気がいい