アブサロム、アブサロム! 下
 フォークナー
 高橋正雄 講談社文芸文庫

 
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 すごく奥の深い小説。また、技巧的な語りと切れない文体。同じ話しが語る人により多少異なっている。黒人の血というものへの当時の人たちの恐怖、恐れ、のようなものが底流にあり、また、北部と南部の溝が感じられる。

 登場人物

 サトペン家
 トマス・サトペン(1807年-1869年)
 主人公。バージニア州西部の生まれ。20歳の時に、ハイチでユーレリア・ボンと結婚。1833年にヨクナパトーファ郡にサトペン百マイル領地を取得、1838年、エレン・コールドフィールドと再婚。南北戦争では大佐・連隊長。1869年、サトペン百マイル領地で、ウォッシュ・ジョーンズに殺される。

 エレン・コールドフィールド・サトペン(1818 年-1862年)
 トマス・サトペンの妻、ローザの姉、グッド ヒュー・コールドフィールドの娘。

 ヘンリー・サトペン(1839年-1910年)
 トマス・サトペンの長男。ミシシッピ大学に入学してチャールズ・ボンと知り合いうが、チャールズ・ボンが異腹の兄であることを知る。1865年にチャールズ・ボンを殺す。1910年にサトペン百マイル領地で死ぬ。

 ジュディス・サトペン(1841年-1884年)
 トマス・サトペンの長女で、チャールズ・ボンと婚約しそうになる。兄のヘンリーが、黒人の血をひいているボンを殺害する。彼女は遺体と再会する。1884年にサトペン荘園で死去。

 ユーレリア・ボン(?-?)
 トマス・サトペンの最初の妻、フランス系ハイチ人砂糖プランテーション所有者の一人娘。スペイン出身だったが、4分の1だけ黒人の血が混じっていた。
 トマス・サトペンとの間にチャールズ・ボンを産む。

 チャールズ・ボン(1829年-1865年)
 トマス・サトペンとユーレリアに生まれる。ミッシッピ大学でヘンリー・サトペンと知り合い、ジューディスと婚約 寸前までいく。サトペンの百マイル領地でヘンリー・サトペンに殺される。

 チャールズ・E・サン=ヴァレリー・ボン(1859年-1884年)
 チャールズ・ボンと八分の一混血女の間に生まれた。放蕩生活を送り、黒人女性と結婚。サトペン百マイル領地で病没。

 ジム・ボンド(1882年-?)
 チャールズ・E・サン=ヴァレリー・ボンが黒人女性に産ませた男、知能障害者。

 クライティ(クライテムネストラ)サトペ ン(1834年-1910年)
 トマス・サトペンが奴隷女性に産ませた娘(クライテムネストラはギリシャ神話の王妃の名。夫アガメムノン王を殺すが、息子オレステスに殺される)。1910年にサトペン百マイル領地に火を放ってヘンリーと共に死去。

 コンプソン家
 ジェイソン・コンプソン2世(?-?)
 クウェンティンの祖父、トマス・サトペンの友人

 ジェイソン・コンプソン3世(?–1912年)  コンプソン家の家長、南部の大学で学んだ弁護士。

 クウェンティン・コンプソン3世(1891年–1910年)
 コンプソン家の長男。ローザ・コールド フィールドやジェイソン・コンプソン3世からサトペン家の物語を聞く。ハーバード大学に入り、ルームメイトのシュリーブとサトペンについて語る。
 『響きと怒り』はコンプソン家の物語であり、クウェンティンは主人公の一人。1910年、マサチューセッツ州ケンブリッジで自殺。

 その他の登場人物
 ウォッシュ・ジョーンズ(?-1869年)
 サト ペン百マイル領地の無断居住者。トマス・サトペン帰還後はサトペン百マイル領地の再建を助ける。
 1869年、孫娘が侮辱されたことに怒り、トマス・サトペンを殺す。その直後にジョーンズも殺される。

 ミリー・ジョーンズ(1853年-1869年)
 ウォッシュの孫娘。1869年、トマス・サトペンとの子を産むがわウォッシュに娘共々殺される。

 シュリーブ・マッキャノン (1890年–?)
 クウェンティンのルームメイト、カナダ出身でハーバード大学の学生。クウェン ティンとサトペンについて語る。

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