今回の芥川賞を受賞した西村賢太の作品は「苦役列車」。

 「暗渠の宿」(新潮社)は、以前の芥川賞候補の作品。
 その時の評価が高い選者がいたので、購入。自らの経験を綴った私小説。
 「けがれなき酒のへど」、「暗渠の宿」の二編。藤澤清造の作品集を製作しようとした中卒の人が主人公。
 二編とも共通している。心理描写はうまく、主人公のいらいらしたやるせない思いが伝わってくる。

 「けがれなき」は、ソープランドに勤める女性に恋をして、結局、お金をだまし取られるような主人公の話。
 藤澤清造の菩提寺の副住職と飲んだ後に、「日頃あれ程うす汚い気持ちで安酒を呷り、つまらぬ所業を繰り返して一向に吐かない自分が、なぜ今夜のような善意にみちた、澄みきった、けがれなき酒に限って吐く羽目になるのだろうか、とふと思った。」のである。

 酒飲みは奥深いショック!